PFASとは何か?スウェージロック製品におけるPFASの使用状況を理解する
スウェージロック製品におけるPFASの使用状況に関する専門家の見解:正しい情報に基づいて材料を選定する
産業材料や環境規制に関するニュースに注目している方であれば、近年「PFAS」という言葉を耳にする機会が増えていると感じているのではないでしょうか。しかし、PFASとは実際には何を指し、なぜこれほど関心が高まっているのでしょうか。スウェージロックの主席材料エンジニアが、PFASについてわかりやすく解説すると共に、スウェージロック製品においてPFASが担っている役割について説明します。さらに、お客さまがアプリケーションに適した材料を正しい情報に基づいて選定できるようサポートします。
PFASとは何か?なぜ注意が必要なのか?
PFASとは、「ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物(Per- and polyFluoroAlkyl Substances)」の略称で、フッ素元素を含む数千種類もの物質が該当します。フッ素は、原子半径が小さく電気陰性度が極めて高いという性質を持っていることから、ガス、化学物質、ポリマーなど、優れた特性を持つさまざまな物質が形成されます。卓越した安定性、極めて高い耐熱性および耐薬品性、撥水性、撥油性、低摩擦性といった特性を備えたフッ素化合物は、幅広いアプリケーションに有用です。よって、電子機器、半導体、繊維、アパレル、自動車、航空宇宙、防衛、泡消火剤、オイル/ガス、建設、食品包装、医療、製薬、エネルギー、廃棄物管理など、ほぼすべての産業で使用されています。
なぜPFASは問題視されているのでしょうか?
特定のフッ素化合物、すなわちパーフルオロオクタン酸(PFOA)、パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、パーフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)、パーフルオロノナン酸(PFNA)、ヘキサフルオロプロピレンオキシド二量体酸(HFPO-DA)は、毒性または生物蓄積による健康被害との関連が指摘されています。世界各地では、PFASの汚染地が確認されています。汚染地は主に、工業施設や廃棄物管理施設の周辺、またはPFOSを含む泡消火剤が使用されている軍事施設や空港の近隣に位置しています。現在、これらの特定化学物質は、ほぼすべての工業国において、使用が禁止されているか、厳しく制限されています。しかしながら、すでに禁止または制限されていても、類似のフッ素化合物が合成され、健康被害をもたらすおそれがあります。
PFASに関する懸念事項は他にもありますか?
PFASに関しては他にも懸念事項があります。フッ素化合物は安定している(つまり分解されにくい)ため、環境中に蓄積するおそれがあります。フッ素化合物が「永遠の化学物質」と呼ばれるのはそのためです。フッ素化合物を分解するための革新的な手法(微生物や酵素を利用した生物学的手法や、光触媒反応などの先進的なアプローチなど)を調査し、安全かつ持続可能で費用対効果の高い方法を確立してこうした懸念に対処しようとする取り組みが進んでいます。
責任ある製造
フッ素化合物のEOL(廃棄・処理・最終処分)管理に加え、AGCケミカルズ、アルケマ、ケマーズ、ダイキン、サイエンスコ、WLゴア&アソシエイツをはじめとする欧州の主要なフッ素化合物メーカーは、責任ある製造プログラムに自主的に取り組んでいます。本プログラムでは、2030年末までに非ポリマー系フッ素化合物の大気への排出量を0.003%、水域への排出量を0.0006%まで削減することを目指しています。重合助剤技術が進歩したことで、上記のメーカーはすでに最初のマイルストーンを達成しており、大気への排出量を0.009%、水域への排出量を0.001%まで削減しています。責任ある製造への取り組みの詳細につきましては、プラスチックス・ヨーロッパのフルオロポリマー製品グループのウェブサイト(https://fluoropolymers.eu/)をご参照ください。
また、米国化学工業協会(ACC)はパフォーマンス・フルオロポリマー・パートナーシップ(PFP)を運営しており、フルオロポリマーの責任ある製造・使用・管理の推進を使命に掲げ、規制に対して科学的根拠およびリスク評価に基づく適切なアプローチを提唱しています。PFPの会員には、スリーエム、AGC、ケマーズ、ダイキン・アメリカ、グループセブ、GFL、ハネウェル、ミリポアシグマ、シャムロック・テクノロジーズ、シャーウィン・ウィリアムズ、サイエンスコ、Tロン・プロダクツ、ティーディット、WLゴア&アソシエイツ、ゼウスが名を連ねています。 PFPのウェブサイト(https://fluoropolymerpartnership.com/)には、フルオロポリマーとその社会経済的な重要性、用途、安全性および規制に関するさまざまな情報が紹介されています。
フッ素化合物の使用は不可欠なのでしょうか?
不可欠ではありません。フッ素化合物は優れたパフォーマンスを発揮しますが、必須用途と非必須用途とに区分して検討することが重要です。特に、高温や反応性の高い化学物質への耐性が求められるような多くの過酷なアプリケーションでは、代替品が存在しません。一方で、フッ素化合物に固有の特性を必要としない非クリティカル(非必須)・アプリケーションでは、代替品を検討する余地があります。例えば、スキー用のワックスやベーキング・ペーパーなどの非必須用途では、すでに代替品が採用されています。
スウェージロック製品におけるPFAS — チェック・ポイント
スウェージロック製品には、現在禁止または制限対象となっているフルオロケミカル[パーフルオロオクタン酸(PFOA)、パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、パーフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)、パーフルオロノナン酸(PFNA)、ヘキサフルオロプロピレンオキシドダイマー酸(HFPO-DA)]は一切使用されていません。フルオロポリマー は、フルオロケミカルとは大きく異なります。科学的証拠によれば、フルオロポリマーには毒性、移動性、生体利用性のいずれも無いことがわかっています。フルオロポリマーは、従業員や環境の安全性、あるいはシステムのパフォーマンスが重要となる過酷な産業アプリケーションに欠かせません。こうしたニーズに対応するため、大半のスウェージロック製品において、高温耐性および耐薬品性を確保する目的で、ソフト・シールやソフト・シートにフルオロポリマーを使用しています。過酷な環境で使用されるシステムにおいては、こうした属性が安全性およびパフォーマンスの確保に極めて重要な役割を果たします。
スウェージロック製品におけるPFASの使用状況につきましては、
マーシーによる解説動画をご覧ください。
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マット・フェラーロ(製品マネジャー):
PFASとは何か、またどのような製品に含まれているのかご存じですか?ぜひこの「 Ask Swagelok 」動画をご覧ください。製品マネジャーのマット・フェラーロです。本日は、スウェージロックの主席材料エンジニアであるマーシー・マッカリーと共にお届けします。
マーシー、最近「PFAS」という言葉をよく耳にしますが、PFASとは何ですか?
マーシー・マッカリー(主席材料エンジニア):
PFASとは、「 ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物」の略称です。簡単に言うと、フッ素元素を含む数千種類の化学物質の総称です。重要な点として、これらのフッ素化合物のうち、商業用途で実際に使用されているのはおよそ10%程度にすぎません。
マット:
では、PFASに関して規制当局による厳しい監視が行われている背景には、どのような懸念があるのでしょうか?
マーシー:
分子量が非常に低い一部のフッ素化合物については、健康被害との関連が指摘されています。こうした物質はすでに厳しく規制されており、スウェージロック製品に使用されている材料、すなわち分子量が非常に高いフルオロポリマーとはまったく異なります。高分子量材料については、健康被害との関連は確認 されていません 。
一方で、高分子量材料は分解されにくいという懸念があります。そのため「難分解性」と呼ばれることが多く、PFASをめぐる議論の一因となっています。
マット:
もう少し詳しく説明してもらえますか?スウェージロック製品では、どのようなPFASが使用されているのでしょうか?
マーシー:
フルオロポリマーは、スウェージロック製品のソフト・シールやソフト・シートの要です。フルオロポリマーを採用することで、多くのアプリケーションで求められる高温定格や極めて高い耐薬品性を実現しています。重要な点として、スウェージロックは、厳しく規制されている低分子量PFASを一切使用して いません 。使用しているのは、健康被害との関連が確認されていない高分子量フルオロポリマーのみです。
マット:
それを聞いて安心しました。スウェージロックでは、PFASを含まない製品も提供しているのでしょうか?
マーシー:
はい、色々な選択肢を取り揃えています。高温性能や極めて高い耐薬品性が求められるお客さま向けには、FKM、FFKM、PTFE、PCTFEなどの材料を使用したソフト・シールやソフト・シートを提供しています。こうした材料は、必要なパフォーマンスを備えています。
また、高温性能や反応性の高い流体との適合性を必要としない場合は、フルオロポリマーを含まないソフト・シールやソフト・シート材料もご用意しています。
マット:
フルオロポリマー・メーカーはこうした懸念にどのように対応していますか?
マーシー:
大手フルオロケミカル・メーカー各社は、厳格な排出管理基準をはじめ、責任ある製造慣行に尽力しています。また、こうした改善を行うにあたって多額の投資も行っています。さらに、多くのメーカーがフッ素系界面活性剤の排除にも取り組んでおり、健康被害との関連が指摘されているPFASの削減に努めています。
マット:
もしお客さまがスウェージロック製品におけるPFASの使用状況について質問や懸念をお持ちの場合、どうすればよいでしょうか?
マーシー:
最寄りのスウェージロック指定販売会社までお問い合わせください。製品に使用されているPFAS含有材料についてご説明し、アプリケーションに最適な材料選定をお手伝いします。スウェージロック・ウェブサイト にアクセスいただくと、最寄りの指定販売会社を検索することができます。
マット:
マーシー、本日はありがとうございました。
マーシー:
こちらこそありがとうございました。
マット:
「Ask Swagelok」 をご視聴いただき、ありがとうございました。
PFASの代替品をご希望のお客さま向けオプション
スウェージロック製品にはどのようなフルオロポリマーが使用されていますか?
フルオロポリマー(FKM、FFKM、PTFE、PFA、PCTFEなど)は、スウェージロック製品のパフォーマンスの要です。フルオロポリマーは、204 °Cという高い温度まで使用可能なため、多くのスウェージロック製品において標準のシートおよびシール材料として使用されています。フルオロポリマーを使用しない場合、高温用製品の最高使用温度はこの値のほぼ半分程度まで低下します。またフルオロポリマーは、酸(塩酸や硝酸など)や溶剤(トルエンやベンゼンなど)といった、非フッ素系材料には耐えられないほど腐食性の強い化学物質をはじめ、幅広い腐食性化学物質に対して優れた耐薬品性を発揮します。こうした特性を必要とするお客さまにとって、フルオロポリマーは最適な選択肢となることが多く、場合によっては唯一の選択肢となることもあります。
スウェージロックが最適な製品の選定をお手伝いします
アプリケーションに適した製品を選定しようとしても、特に耐薬品性、使用温度範囲、規制要件などを考慮すると一筋縄ではいきません。そこでスウェージロックの専門知識をご活用ください。材料エンジニアおよび製品スペシャリストのチームが、スウェージロック製品に使用されているPFAS材料について説明し、ニーズに適した安全かつ効果的なソリューションを提案します。
スウェージロック製品におけるPFASの使用状況について質問や懸念点があれば、最寄りのスウェージロック指定販売会社までお問い合わせください。専門スタッフが製品選定をサポートし、お客さまが自信を持って判断していただくのに必要な情報を提供します。