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小口径チューブ継手の主な相違点

チューブ継手各種

適切な小口径継手の選定方法

信頼性の高い小口径流体システムを設計/構築するには、高品質な部品が欠かせません。中でも非常に重要な役割を担っているのが 小口径継手 です。重要な接続部分に使用される継手には、漏れのないパフォーマンスを発揮することで、プラントの安全性とオペレーション効率の維持に貢献することが求められます。

しかしながら、継手にはさまざまなタイプが存在するため、既存システムのメンテナンスを行う際、または新システムを構築する際に、どの継手を選定すべきか迷うケースも珍しくありません。

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それではニーズに適した継手はどのように選べばよいのでしょうか。今回は、一般的な継手のタイプを、それぞれの特徴や強みとともに紹介します:

ねじ継手

ねじ継手には2つのねじ部分、つまりおねじ(継手の外側にねじが付いている)とめねじ(継手の内側にねじが付いている)があり、おねじをめねじにねじ込んで接続します。

ねじ継手は、 平行ねじ が付いているタイプと、 テーパーねじ が付いているタイプの2つが存在します。 平行ねじ は、ガスケット、Oリング、金属同士の接触などによって漏れのないシールを形成する必要があります。このため、平行ねじは一般的にシステム圧力が34.4 MPa未満のアプリケーションで使用されます。

Tapered thread type of tube fittingテーパーねじ は、おねじとめねじの側面が相互に押しつけ合うことでシールします。平行ねじはセンターラインに対して平行になっているのに対し、テーパーねじはセンターラインに対して角度が付いています。ねじシール剤やねじテープを使ってねじ山の頂点とねじ山の底点の間のすき間を埋め、接続部からシステム流体が漏れないようにしてください。また、良質のシール剤を使用することで、取り付け時のかじり(接触したおねじとめねじの表面が冷間圧接により固着する現象)を防止することができます。テーパーねじは、一般的に103.4 MPaまでのシステム圧力に有効です。


平行ねじは、一般的にシステム圧力が
34.4 MPa未満のアプリケーションで使用されます。
テーパーねじは、一般的に103.4 MPaまでのシステム圧力に有効です。




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圧力が決定要因ではない場合、一般的にユーザーの好みで平行ねじかテーパーねじかを決めて構いません。一般的に、ねじ継手は共通規格に準拠しており、管用ねじでも英国規格(BSP)や米国規格(NPT)などさまざまです。しかしながら、施設全体で同一のねじタイプに統一しておくことで、混乱や誤用を防止することができるしょう。

圧縮チューブ継手

ねじ継手とは対照的に、圧縮チューブ継手は一般的にフェルールを使用して漏れのないシールを形成します。継手のナットを締め付けると、フェルールはナットと継手ボディの間で圧縮されます。その結果、フェルールがチューブにしっかりと食い込み、強力なグリップ力を発揮するため、シール性が向上します。チューブ・グリップの信頼性は、フェルールがいかに食い込み機能を果たしているかに左右されると言っても過言ではありません。圧縮継手は、取り付けや取り外しを容易に行える点も特長に挙げられます。


圧縮継手は、2個のフェルールを使用することで、
グリップ力とシール性能を高めています。



現在市販されているさまざまな圧縮チューブ継手には、設計上の大きな違いが存在します。シングル・フェルール および ダブル・フェルール の食い込みタイプのフェルールは、取り付けると弓状に曲がります(図参照)。これで食い込みタイプのフェルールの前端部がチューブに押し込まれ、チューブをグリップしたり、チューブ表面をへこませたりします。食い込みタイプのフェルールの先端部は、チューブに食い込むことでグリップします。継手に振動、脈動、熱衝撃、側面の荷重が加わった場合、フェルール先端部のみのグリップでは不十分です。つまり、動的なシステムの場合は、チューブの破損や抜けが生じるおそれがあるということになります。

2個のフェルールを使用した圧縮継手は、グリップ力とシール性能が向上しています。フロント・フェルールとチューブ外径部との間、継手ボディのシール面との間にガス・シールが形成されるためです。また、バック・フェルールは、主にチューブを継手に固定するという機能も担っています。取り付け時は、バック・フェルールがフロント・フェルールを軸方向に前進させ、チューブ外周をしっかりとグリップします。

Medium-pressure mechanical grip type of tube fitting 2個のフェルールを使用したメカニカル・グリップ構造の継手 は、hinging-colleting(ヒンジ・コレット)機能を備えており、グリップ力とシール性能がさらに向上しています。Hinging-colleting 機能により、チューブ・グリップ部の周辺でチューブに接するバック・フェルールの面積が大きくなります。この接触面でチューブを直接かつ軸方向にグリップします。さらに、この設計により、振動の懸念があるアプリケーションにおいて継手からチューブが抜ける可能性が低減しつつ、継手内のごくわずかな動きを許容しながらも、適切なグリップと力を維持します。「スプリング・バック」と呼ばれるこの動きによって優れた耐振性を実現しています。さらに、このメカニカル・デザインで、フェルールとチューブの間に長いシール・ラインを形成することで、信頼性の高いシール性能を実現します。圧縮継手は、漏れの無いパフォーマンスを重視するアプリケーションに適していると言えるでしょう。



2個のフェルールを使用したメカニカル・グリップ構造の継手は、
適切なグリップと力を維持しつつ、高い耐動性を実現しています。



 

ミディアム・プレッシャー・チューブ継手

メカニカル・グリップ構造のミディアム・プレッシャー・チューブ継手は、2個のフェルールを使用した圧縮継手を進化させた製品で、優れたパフォーマンスと取り付け効率の向上を実現します。

Swagelok® FKシリーズ継手 は、メカニカル・グリップ技術と圧縮タイプの継手との違いを示す良い例といえるでしょう。FKシリーズ継手は、2個のフェルールを使用した標準的なSwagelok®チューブ継手と同様のhinging-colleting機能を備えていますが、めす継手ボディとおすナットにフェルールをセットした部品装着カートリッジを使用している点が異なります。この設計により、ダイナミック・ウェッジと呼ばれる独特の構造が生まれます。ダイナミック・ウェッジによって、トルク値による締め付けができ、チューブ継手の初回取り付け時や再取り付け時にゲージによる締め付け度の確認が可能になります。また、2個のフェルールにより、チューブへのグリップを高め、初回取り付け時はもちろん再取り付け時にも漏れのないガス・シールを実現します。

また、FKシリーズ継手の特徴である部品装着カートリッジには、おすナット、フロント・フェルールおよびバック・フェルールがあらかじめ装着されています。これでフェルールの向きが正しく維持され、取り付けも確実に行うことができます。このような特徴から、FKシリーズ継手は、取り付け時間の短縮、組み立てやメンテナンスに要するコストの削減に貢献するとともに、信頼性の高い接続を実現するため、さまざまなアプリケーションにおいて稼働率を高めることができます。

コーン&スレッド継手

最後に紹介するのは コーン&スレッド継手 で、さまざまな合金製があり、中圧から高圧のアプリケーションに適した設計上の特徴を備えています。その信頼性の高いパフォーマンスにより、長年にわたって、過酷なアプリケーションにおける標準的な高圧用継手として選定されています。

コーン&スレッド継手を使用する場合は、一般的に厚肉で高い圧力に対応可能なコーン&スレッド・チューブが必要です。

高性能なコーン&スレッド継手は、グランド、カラー、めすポートの継手ボディで構成され、継手ボディには漏れを確認できるウィープ・ホールが付いています。

コーン&スレッド継手の準備や取り付けには、特に注意が必要です。接続する際は、コーン&スレッド専用のツールのほか、切断時の摩擦を低減するための潤滑剤を使用してください。必ず適切なコーン&スレッド加工をチューブに施してから、継手に取り付けてください。加工する際に、チューブにバリやえぐれ、スクラッチ傷が生じないよう注意してください。チューブの前処理が完了したら、カラーをチューブにねじ込み、グランド・ナットを継手ボディに挿入して最後の締め付けを行います。定期的に衝撃や振動が生じるシステムでは、防振部品を使用してチューブ接続部を保護することもお勧めします。コーン&スレッド継手は、適切に取り付けることで、非常に過酷な流体システム・アプリケーションにおいても、信頼性の高いパフォーマンスを長期にわたって発揮します。

***

現在市販されているさまざまな継手の主な相違点を学ぶことで、流体システム・アプリケーションに合わせて適切な選定ができるようになります。今回のコラム記事では小口径チューブ継手の基本知識のみをご紹介しましたが、チューブ継手の選定や取り付けには、他にも考慮すべきポイントが多数あります。Swagelok tube fitting installation training

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