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施設における産業排出物を削減するには

流体システムの漏れを削減する

コストがかさむ流体システムの漏れや排出物を削減するには

Sean Hunsicker、ビジネス開発マネジャー、グローバル・セールス担当

ケミカル・プロセス、オイル/ガスなどの産業プロセス施設では、特定の音や光景といった周囲の環境条件に慣れてしまいがちです。フロアーを歩いている際に、遠く離れた圧縮エアー・ラインからシューという音がしているのを耳にすることがあるかもしれません。蒸気チューブの下に滴が落ちているのを目にしたり、プロセス・ガスのかすかな匂いに気づいたりすることもあるでしょう。

これらは、稼働中の施設ではありふれた光景のように思えるかもしれませんが、実は流体システムのさまざまな漏れの兆候を示しています。深刻度はそれぞれ異なるものの、こうした漏れによって何らかの非効率性が生じ、スタッフや環境が危険にさらされるおそれもあります。

実際の漏れ:圧力障壁がシステム流体を封止できない、または周囲環境から隔離できない場合に発生する漏れ。材料に生じた裂け目やシール面間のすき間によって発生します。 見かけ上の漏れ:材料のアウトガス、流体の吸収または吸着、クラックやデッド・レッグ内のたまりなどにより、システム内に閉じ込められていた流体が流体システムに放出されること。 透過:圧力障壁には小さな分子が通過可能な大きさの穴が無いにも関わらず、流体が圧力障壁を超えて流入・通過・流出すること。

ほぼすべての産業施設において、さまざまな形で 漏れが見過ごされており 、その大半が流体システムの接続部で生じています。漏れはちょっとした厄介事程度に思われるかもしれませんが、実はコストがかさみ、危険な状況をもたらすおそれもあります。また世界各地で環境規制や投資家の目が厳しくなる中、施設からの排出量を大幅に削減するべく、わずかな漏れも最小限に抑えることが至る所で優先事項になりつつあります。

これを踏まえて、産業施設でよく見られる流体システムの漏れのタイプと、それを削減する方法を紹介します。

包括的な漏れの削減策について問い合わせる

環境排出

環境排出とは、制御されていないガスが大気中に漏れることを指します。ベンゼン、メタン、エタノールなどのガスは、大気汚染を引き起こしたり、オゾン生成を促進したりするおそれがあるため、注意が必要です。

こうしたタイプの排出物に対する各国政府や企業の取り組みにつきましては、 温室効果ガス・プロトコルのスコープ1、スコープ2、スコープ3の排出の定義 をご覧ください。

  • スコープ1 の排出は、企業の事業活動から直接排出されるものを指します。これには、燃料の燃焼による排出や、温室効果ガスの環境への直接排出など、大半の産業プロセス施設ですぐには気づかないうちに生じる可能性があるものを含みます。
  • スコープ2 の排出は、企業が電気、蒸気、熱を購入することで発生するものを指します。
  • スコープ3 の排出は、企業の上流側と下流側の活動に関連したすべての間接排出で、スコープ2に含まれないものを指します。

温室効果ガス・プロトコル(GSGP)では、企業はその排出量を積極的に削減することで、収益の向上、リスクの軽減、新たな競争力の獲得といった機会を見出すことができるとしています。GHGPはそのCorporate Value Chain Accounting and Reporting Standard(コーポレート・バリュー・チェーン会計報告基準)の中で、「各国政府は新たな政策を打ち出し、市場ベースの追加インセンティブを提供することで、排出量の大幅な削減を促進することが期待される」としています。プロセス主体の施設では、プロセス装置の漏れによる炭素排出を探して対処することで、オペレーション上の大きなメリットを得ることができます。

コストがかさむ漏れ

一般産業での炭素排出以外にも、さまざまなタイプの漏れが産業施設の至る所で発生する可能性があります。中には、その危険性とコストがかさむ可能性があることから、明らかに問題となる漏れもあります。一方で、人や環境に直ちに危害を及ぼすことがなくても、非効率なオペレーションやコスト増大につながりかねない漏れも存在します。

人や環境に直ちに危害を及ぼすことがなくても、非効率な
オペレーションやコスト増大につながりかねない漏れも存在します。

例えば、多くのタイプの産業施設において、さまざまな製造目的で使用されている蒸気について考えてみましょう。蒸気を発生させて使用するには、水の精製、蒸気の生成プロセス、輸送インフラに多くのコストとエネルギーを要します。蒸気システムで意図しない漏れが生じると、収益の損失に直結しかねません。

圧縮エアーの漏れもまた、一見何の問題もないように見えても、積み重なるとかなりのコストとなるおそれがあります。例えば、圧縮エアー・システムが圧力要件を満たしていない場合は、別途コンプレッサーが必要になるかもしれません。しかし、圧力損失の原因が漏れだった場合、漏れを無くせば補助コンプレッサーが不要になり、その運用コストもかからなくなります。

一般的な漏れの原因を特定して対処する

継手とバルブの接続部では、以前は検出されなかった排出や漏れが見つかることも珍しくありません。

継手の場合、不適切な取り付けがパフォーマンス低下の主な原因となっています。しかし、中には漏れが生じやすいタイプの継手があります。例えば、NPTねじ継手(一般的なタイプの 小口径継手)は、フェルールとチューブ間のシール接触面が長い メカニカル・グリップ構造のチューブ継手 に比べて、漏れが生じやすいことがわかっています。流体システム全体にわたって、高性能のチューブ継手を選定することで、漏れのないパフォーマンスを実現することができます。



一方、バルブの場合はシステム流体の漏れが発生しやすいため、 高品質なオプション を選定することがより重要となります。バルブはステム、シール、ハンドルなど複数の部品で構成されており、その部品ひとつひとつが流体の漏れ経路となる危険性をはらんでいます。また、バルブを頻繁に開閉すると、部品によっては摩耗が生じ、時間の経過と共に漏れが生じる可能性が高まります。

先を見越した漏れ検出

サプライヤーの中には、漏れのない部品を提供するだけではなく、漏れを制限するシステム設計を提案できるところもあります。また 漏れ検出サービス を通じて、効率の改善、信頼性の向上、日々のプラント・オペレーションにおいてエネルギー消費量と排出量を削減するサポートを行っている場合もあります。

日常的に漏れを放置していると、収益に悪影響を及ぼしかねないことを覚えておいてください。漏れに早く対処すればするほど、コストの削減と安全性の向上につながります。高品質の部品を使用し、先を見越して漏れを削減する方法について興味がございますか?部品の選定や漏れの検出など、漏れのないオペレーションを実現するサービスの活用をご検討ください。

総合的な漏れ削減策について問い合わせる

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