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チューブ継手の取り付け方法

チューブ継手の取り付けに関するトレーニング

チューブ継手の取り付け方法:押さえておくべきポイント

信頼性の高い産業用流体システムは、プラントの安全性、効率性、収益性に欠かせません。そして信頼性の高いオペレーションが実現するか否かは、さまざまな要因に左右されます。最も重要なのは、システムを最初に組み立てる際、そして耐用年数にわたってメンテナンスを行う際に、チューブをチューブ継手に適切に取り付けることです。

何が問題なのでしょうか。スウェージロックのエンジニアリング・チームがこれまでにお客さまの現場でサポートを行ってきた経験から、産業用流体システムにおける漏れの主要原因は、不適切な取り付け、そして誤ったチューブの選定や準備の2つであることが分かっています。その結果として、収益性やオペレーション効率が低下する可能性があるのはもちろんですが、それ以上に重要なのは、漏れが生じると、プラント作業員の労働環境が危険にさらされるということです。大半の産業環境では、危険なアプリケーションが付き物であり、不適切な取り付けによるリスクが重大事故につながりかねません。

こうした理由から、流体システムの担当者は、チューブ継手を適切に取り付けるのに必要な基本スキルを身に付けることが求められます。この記事では、取り付けに適したチューブの選定および準備の方法、チューブ継手の取り付け方法、そして適切な取り付けが現場の安全にとって重要な理由を紹介します。

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チューブの特性を理解する

チューブ継手を接続する前に、チューブ自体に存在するさまざまな変動要因を理解しておくことが重要です。チューブ によって、その特性(内径、肉厚、表面仕上げ、同心度など)はさまざまです。つまり、幅広い流体システムのアプリケーションに合わせて、チューブを選定することができます。

しかし、種類が多いだけに、取り付けるチューブのタイプを把握しておくことが大切です。例えば、チューブ継手における漏れの原因は、取り付け時の締め付け不足というのが一般的です。これは、感覚だけでチューブ継手を取り付けた際に起こることがあります。これまでに数多くの継手を取り付けた経験から、締め付け終わるタイミングを直感的に判断していると言う取り付け担当者が少なくありません。しかし、チューブ継手を締め付けるのに必要な力は、さまざまな変動要因(サイズ、肉厚、硬度)の影響を受けます。変動要因がひとつでも変われば、継手の感覚は大きく異なることになります。

 

パイプよりもチューブが優れている理由

チューブには、従来のパイプに比べて、以下のような利点があります:

  • ねじ切りや溶接が不要で、標準的なレンチがあれば、容易に継手の取り付け可能
  • 強度重量比が優れているため、取り扱い、取り付け、加工が容易
  • チューブを曲げることで接続部を減らし、リーク・ポイントを削減することが可能
  • チューブ曲げ部の内面がスムーズなことから、システム流体の層流状態が維持されるため、システム全体の圧力損失を低減することが可能

取り付ける際は、チューブの硬度が継手の硬度よりも低いかを確認する必要があります(これで継手は効率的にチューブをグリップすることが可能になるため)。チューブのサイズや形状、そして全体的な状態も確認してください。過度のスクラッチ傷、へこみ、盛り上がりなどの欠陥があると、特に流体がガスの場合には、シール性が低下するおそれがあります。また、わずかでもだ円化しているチューブもトラブルの原因となり、継手のナット、フェルール、ボディに通すことができない可能性があります。

チューブ・システム設計のベスト・プラクティス

チューブ・システムを設計する際は、以下のようなベスト・プラクティスを取り入れましょう。

システム設計に必要なチューブ継手の数とチューブの長さを決定してから、取り付けプロセスを開始してください。チューブの長さを決定するにあたっては、継手ボディの中に差し込む分を考慮した十分な長さのチューブを選定することが重要です。

接続部の位置を決定する際は、アクセス性を考慮してください。チューブ継手は、耐用年数にわたってメンテナンスを要するかもしれません。作業者が容易にアクセスできるようにしておけば、迅速にメンテナンスを行うことができます。

チューブをレイアウトする際は、装置内の重要なシステムを考慮してください。例えば、重要な計器パネルの前にはチューブをレイアウトしないでください。アクセスが難しくなることで、安全性に対する懸念が生じるおそれがあります。また、足元や手すりとなるような位置にチューブを配置しないでください。チューブにつまずくなど、安全上のリスクが生じるおそれがあります。

長尺のチューブを使用する際は、適切なチューブ・サポートを使用してください。適切にチューブをサポートすることで、システムの振動が低減し、チューブや継手を長く使用することができるため、長期にわたって安全かつ信頼性の高いシステムのオペレーションを実現することができます。

チューブの準備

適切なチューブを選定したら、ベスト・プラクティスに従ってチューブを 適切に準備 してから、チューブ継手を接続してください。チューブ・カッター

  1. チューブ・カッター を使用して、チューブを必要な長さに切断します。
  2. ローラーとカッター・ホイールの間にチューブをセットします。
  3. ハンドルを回してホイールがチューブにあたったら、さらにハンドルを1/16回転まわします。
  4. チューブ・カッターをチューブの外周に沿って回転させます。2回転ごとにハンドルを1/16回転まわしてください。

チューブ・カッターがない場合は、金のこで代用することができます。ただし、金のこを使用すると、切断面が粗くなることがあります。

以下の動画では、Swagelokチューブ・カッターおよびバリ取りツールを使用して、チューブの表面をクリーンに仕上げる方法を紹介しています。

いずれにせよ、チューブを切断した後には、チューブ端面にバリが残ります。バリ取り用ツールで、必ずバリを除去してください。クリーンで漏れのないシステムを構築するためだけでなく、継手を正常に機能させるためにも、バリ取りは欠かせません。残っていたバリが取れて小さな穴やベント部に滞留したり、バルブ・シートやOリングなどのソフト・シールに引っかき傷をつけたりするなど、システムのその他の部品に損傷を与えるおそれがあります。このような理由から、先にチューブのバリを除去してから、チューブ継手を取り付けてください。

チューブ継手の取り付け方法

継手にはさまざまなタイプがあります が、2個のフェルールを使用したメカニカル・グリップ構造 の継手であれば、ヒンジ・コレット機能でチューブをしっかりとグリップし、さまざまな流体システム・アプリケーションにおいて確実にシールを形成します。ヒンジ・コレット機能により、バック・フェルールはより広い面でチューブに密着し、チューブ・グリップ力を形成します。これでグリップ性能が向上し、振動に強く、チューブをしっかりサポートします。さらに、この設計により、振動があるアプリケーションにおいて、チューブが継手から抜ける可能性が低減し、継手のごくわずかな動きを可能にしながらも、適切なレベルのグリップ力を維持する「スプリング・バック」により、優れた耐振性が生まれます。さらに、フロント・フェルールとチューブの間に長いシール・コンタクトの面を形成することで、信頼性の高いガス・シールが実現されます。

取り付け時の安全上のヒント

  • 継手のナットを緩めて、 システム圧力を排出しないでください
  • 加圧状態のシステムでは、継手の取り付けや締め付けを行わないでください
  • ナットを締め付ける前に、チューブが継手ボディの肩に確実に当たるのを確認してください
  • 取り付け中に継手ボディを回転させると、シール面に損傷を与えるおそれがあります

Swagelok®チューブ継手 のような2個のフェルールを使用したメカニカル・グリップ構造のチューブ継手は、3つの簡単なステップで取り付けることができます。

手順1:チューブを継手の中に差し込みます。チューブが継手ボディの肩に確実に当たるのを確かめてから、 ナットを指締めします。

手順2:ナットに時計でいう6時の位置に目印を付けます。

手順3:継手ボディを固定し、ナットを1 1/4回転まわします。

初回の取り付けが終わったら、ギャップ検査ゲージ を使用して、継手が十分に締め付けられているかを確認してください。ギャップ検査ゲージを、継手のナットとボディ六角部の間のすき間に当てて、ゆっくりと押し付けます。ギャップ検査ゲージがナットとボディの間に入らなければ、締め付けが十分に行われています。ギャップ検査ゲージがナットとボディの間に入るようであれば、さらに締め付けが必要です。

互換や混用を避ける

チューブ継手を取り付ける際は、同一メーカーの小口径チューブ継手を使用して流体システムを構築することが重要です。チューブ継手の互換や混用を行うと、漏れの可能性やパフォーマンスの低下が生じるおそれがあります。

互換とは、あるメーカーのチューブ継手をチューブに取り付けてから分解し、チューブ、ナット、フェルールを別のメーカーのチューブ継手ボディに再度取り付けることです。

混用とは、複数のメーカーのチューブ継手部品(ナット、フェルール、ボディなど)を混ぜて、継手を組み立てることです。

チューブ継手に関する業界全体での設計基準は存在しないため、互換や混用を行わないことが重要です。各メーカーは、独自の設計標準とプロセスに基づいて製造しています。つまり、異なるメーカーのチューブ継手部品を混ぜて使用することを想定していません。混用や互換を行った継手は、実質的にはまったく新しい設計であり、試験も行われていません。

中には、自社製品が他社の製品と互換性があるとうたっているメーカーも存在します。しかし、他社の設計をそっくりそのまま再現することは不可能です。チューブ継手部品の混用や互換を行うと、予測外のパフォーマンス、コストの上昇、安全上の問題が発生するおそれがあります。また、保証が無効になる可能性もあります。もし問題が発生した場合、さらに高いコストが発生することになりかねません。パフォーマンス上の問題、漏れ、コスト増、安全上の問題を避けるためにも、決してチューブ継手の混用や互換を行わないことを強くお勧めします。

まとめ

チューブ継手の取り付けのベスト・プラクティスに従うことで、プラントにおける漏れを効果的に削減し、重要な流体システム全体を通して、環境の安全、オペレーション効率および収益性の改善を実現することができます。

この記事で紹介した手順に従うことで、次回の取り付け時には、信頼性の高い接続を行うことができます。詳細な取り付けプロセス、漏れの性質、チューブの材質、2個のフェルールを使用したメカニカル・グリップ構造の継手が他の継手よりも優れている理由などに興味はございますか?スウェージロックでは、経験やスキルを問わず、あらゆる作業者を対象に、チューブ継手に関する包括的なトレーニング を実施しています。トレーニングを受講すると、信頼性の高いSwagelokチューブ継手の取り付け方法を習得できます。チューブ継手を適切に取り付けることで、施設の安全性や収益性の向上を実現できます。

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