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液体や天然ガスのサンプリング・システムにおいてノズルを適切に配置する方法

液化天然ガス試料採取システムの図

液体や天然ガスのサンプリング・システムにおいてノズルを適切に配置する方法

Karim Mahraz

液体やガスのサンプリング・システムでは、取出し口でノズルを使用してサンプルを分析器に送ります。 タイムリーかつ 正確な分析結果 を得るには、適切な位置と向きでノズルを配置することが絶対条件となります。ノズルを適切に配置していなかった場合、分析の時間遅れ、サンプルのコンタミネーション、不正確な分析結果などにつながりかねません。

ノズルを適切に配置するには、配管レイアウトに加えてプロセス容器の設計までをサンプリング・システムのエンジニアが担当するというのが理想的です。 しかしながら、ノズルの配置や向きが適切でない状態のまま、既存の配管レイアウトでの対応を求められるエンジニアも少なくないでしょう。 今回は、液体およびガス・ サンプリング・システムにノズルを配置する際に、エンジニアが考慮すべきポイントを再確認していくことにします。 なお、スウェージロックでは、有資格の分析エンジニア、プロセス・エンジニア、化学者、コンポーネント・サプライヤーが設計段階から参画し、あらゆる条件を検討することをお勧めしています。

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ノズルの位置を決める

一般的にノズルは短く、プロセス・ラインに比べると径も大きくありません。 また、大抵のノズルは、プローブを備えています。最もシンプルなタイプのプローブは、金属、ガラス、セラミックを素材とする細管です。このプローブをプロセス流体に差し込み、流れている液体やガスを採取して分析を行います。

パイプラインや容器にノズルを配置する際は、プロセス流体がむらなく混ざり合う場所を選ぶと、プロセスの状態を正しく表すサンプルを得ることができます。 可能であれば、プロセス・ラインにインライン・ミキサーを取り付けてください。 これが難しい場合は、乱流が発生するポイント(ポンプの吐出し口、オリフィス、配管のエルボー部分など)の下流に取出し口を設けてください。 乱流が生じることで、サンプリング前のプロセス流体が混ざり合うためです。

ただし、取出し口を乱流発生源の直後に設けるのはやめましょう。 乱流によって圧力の変動や渦巻きが生じ、分析結果に影響を及ぼすおそれがあるためです。

ガス・サンプリング

取出し口は、流路障害物から少なくとも配管径の2倍離れた下流に設けることをお勧めします。 これは、 米国環境保護庁(EPA) も推奨している方法です。 手動式排ガス・サンプリングの場合、EPAでは次の2つの位置を認めています:

  1. 流路障害物から少なくとも排気配管またはダクトの径の8倍離れた下流で、かつ、2倍離れた上流
  2. 流路障害物から少なくとも排気配管またはダクトの径の2倍離れた下流で、かつ、0.5倍離れた上流

EPAが推奨しているのは1の位置ですが、これが難しい場合は、複数のサンプリング・ポイントを設けて、サンプルが混ざっていない状況に対処することがEPAのガイドラインで規定されています。

液体サンプリング

パイプラインのサンプリングでは、流路障害物から少なくとも配管径の2倍離れた下流で、かつ流量計の邪魔にならない位置に取出し口を設けてください。 ただし、プロセス流体が沸点に近い液体の場合は、より注意が必要です。 サンプルのバブリング(沸騰)を避けるため、取出し口の上流に、少なくとも配管径の5倍の直管部分を確保し、下流には2倍の直管部分を確保してください。

蒸気サンプリング

サンプルとして採取した流体が露点またはそれに近い温度の蒸気の場合は、取出し口の位置を慎重に決定する必要があります。 流路障害物付近の圧力が変化するポイントで凝縮が発生することがありますが、ガス・サンプルに液体が混入するのは望ましくありません。 これを最小限に抑えるため、天然ガス測定に関するヨーロッパ規格( ISO 10715 1997, 13 )では、サンプル取出し口は、流路障害物から少なくとも配管径の20倍離れた下流に設けるよう定めています。 対応する米国規格(API MPMS 14.1 2006, 15)では、少なくとも配管径の5倍離れた下流を要求しています。 配管に別のプローブ(温度センサー保護管など)が取り付けられている場合、サンプリング・プローブは温度センサー保護管から温度センサー保護管の径の5倍離れた位置にする必要があります。

アイソキネティック(等速吸引)・サンプリングの場合、プローブ内の流速とプロセス・ライン内の流速を等しくしなければならないため、さらに距離を取る必要があります。 例えば、飽和蒸気の場合、対応する米国規格( ASTM D1066 )では、流路障害物から少なくとも配管径の35倍の下流で、かつ、4倍離れた上流にサンプル取出し口を設けることを推奨しています。なお、この距離が確保できない場合、ASTMでは下流と上流の距離の比率を9:1にすることを推奨しています。

ノズルを配置する

設計段階になると、ノズルの設計(向きを含む)が、プローブの必要性に大きく左右されることがわかります。 ノズルはもちろんプローブの位置と向きによって、プロセス流路内のパーティクルが分析に及ぼす影響の度合いが変わります。 ノズルとプローブを正しく配置することで、パーティクルがプローブに流入してサンプルを汚染したり、パーティクルが堆積してプローブの詰まりを引き起こしたりする可能性を最小限に抑えることができます。

最もシンプルなノズルの取り付け方法は、めねじボスをパイプラインに溶接し、ドリルで開けた穴に通すことです。この場合、最初に補強プレートをパイプラインに溶接してください(肉厚に十分な厚みがある場合は不要)。 次に、ねじを切ったプローブまたはバルブに適したサイズのボスを選定します。 または、おねじパイプ・ニップルをパイプラインに溶接する方法もあります。

もちろん、プロセス配管の仕様でプロセス外周部にねじが使えない場合は、上記いずれの方法も使用することはできません。 この場合の代替策としては、バルブをニップルに溶接するか、フランジ配管のノズルを使う方法があります。

ガス流路からの取出し

プロセス・ガスのサンプリングでは、できるだけ配管を水平にしてください。 水平にすると、ノズルを垂直に配置することができます。 また、長い直管部を選択しやすいという点もメリットです。 配管の上部にノズルを配置すると、不純物や液体がプロセス配管に戻ります。 プロセス・ガスがクリーンで乾燥している場合は、水平にした配管の側面にガス・ノズルを配置することも可能です。 ただし、サンプルに不純物が混入している場合は、このような水平のプローブは避けてください。プローブ内を流れるガスが乱流にならず、固体物が落下・付着してプローブに詰まりが生じるおそれがあるためです。

垂直のガス・パイプラインにノズルを水平に配置する場合も、同じく詰まりが生じる可能性があります。 この場合、ノズルを斜めにすると混入した液体や固体をプロセスに戻すことができます。 ただし、これは液体の除去には効果的ですが、固体の場合はプローブ内に付着するおそれがあるため適切ではない場合があります。

垂直排気配管の場合、ノズルは水平か少し斜めにする必要があるほか、特殊なプローブにも適合するようにサイズをかなり大きくする必要があります。 この場合のノズルの位置は、ガスの温度によって決まります。つまり、高温になりすぎない(材料コストを適正範囲に抑える)のと同時に酸露点を下回らない(硫酸がプローブ内で凝縮しない)ことが求められます。 排ガスのモニタリングの場合、排ガスを完全に燃焼させるため、ノズルでの最適なガスの温度は600℃を少し上回った温度になります。

サンプリングするプロセス蒸気の流れに凝縮した液滴が含まれている可能性がある場合(飽和蒸気システムなど)、取出し口は下方向に流れる長いプロセス配管に取り付けることをお勧めします。 ただし、配管の圧力は常に確認してください。 下方向の配管の多くはプロセス・ポンプの吸込側に接続されているため、流体の圧力が低くなっている可能性があります。 供給源の圧力が低くてもガス・サンプルがフレアーに排出される場合は問題ありませんが、ファスト・ループ経由でプロセスに戻したい場合は厄介です。 ファスト・ループでは、プロセス・ポンプの吐出し口からサンプルを採取し、ガスを吸込側に戻したいと考えるのではないでしょうか。

液体流路からの取出し

上方向に流れる垂直パイプラインは、常に流体で充満した状態になるため、液体サンプリング用ノズルに適しています。 この配置の場合、水平のノズルを使用することをお勧めします。プローブが短くなり、振動を抑えることができます。 液体サンプルで水平のノズルを使用した場合、プローブ内の流れが乱流となり、プローブ内で固体が堆積するのを防止することができます。

取出し口より上にある配管内の液体により、ヘッド圧が発生し、取出し口のプロセス流体の圧力が高まり、気化を確実に防ぐことができます。 また、圧力が高まると、サンプルを移送しやすくなるというメリットもあります。 配管が流体で充満した状態とは限らないため、下方向に流れる垂直プロセス配管から液体サンプルを採取するのは避けましょう。

水平配管を流れる液体からサンプルを採取する場合、プロセス配管が流体で充満した状態ではなく、サンプルに2つの相が混在するリスクが考えられます。 水平配管の後、垂直上方に配管が曲がっている場合は、水平配管は確実に液体で満たされていますが、垂直下方に曲がっている場合は、液体層の上にガス層が滞留するという2層の状態になる場合があります。

液体の取出し口は水平プロセス・ラインの側面に取り付けるというのが一般的な手法です。これは、プローブを使わないサンプリングの場合には適切です。 サンプルを採取するノズルが配管の側面にあれば、配管の上部に混入したガスや、底に溜まったスラッジが抽出されるリスクが少なくなるためです。

実際には、プローブを配管の中心に差し込むことをお勧めします。 プローブを使用する場合、取り付けの向きはそれほど重要ではありません。 通常は、配管の上部にノズルを垂直に配置することをお勧めします。これで重い固体がプロセス配管に戻ることになります。 また、原則として水平配管の底にノズルを配置しないでください。固体がノズル内に入り込み、サンプル調整が困難になります。 底にある既存のノズルを使用しなければならない場合は、配管径の中央1/3の部分に届くようにプローブを取り付けてください。

取出し口の位置を決定する前に

最終的な取出し口の位置を決定する前に、ノズルの向き、径、その継手は、選定したプローブによって決まることを覚えておきましょう。 プローブを選定したら取り付け位置を再確認し、取り付けやメンテナンスの作業が行えるスペースがあることを確認してください。 ノズルの配置、プロセス・アイソレーション用バルブのメンテナンス、プローブの引き抜きに十分なすき間はありますか? アクセスのしやすさや照明も考慮しましょう。 シンプルな取出し口やパイプ・プローブであれば、必要な台やはしごは小型なもので十分ですが、屋外の大型設備の場合は大がかりな足場や照明が必要になるケースもあります。

スウェージロックでは、ノズルの配置やサンプリング・システム設計に関するトレーニングを提供しています。詳細につきましては、最寄りのスウェージロック指定販売会社までお問い合わせください。

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