背圧レギュレーターのしくみおよびエンジニア向けのヒント
サンプリング・システム向けの背圧レギュレーターのセットアップ:エンジニア向けのガイダンス
David Rodriguez、製品マネジャー
背圧レギュレーターは、多くの産業施設で使用されるサンプリング・システムにおいて、一次側圧力(上流圧力)を維持し、圧力の影響を受けやすい装置を保護するという重要な役割を担っています。背圧レギュレーターを適切に使用するため、サンプリング・システムを設計する際は、以下のようなミスに注意してください:
- 上流に流量調節機器を設置する必要はないと考える
- 分析器へ大量に流す
- 減圧レギュレーターと背圧レギュレーターを直列に配置し、両レギュレーター間に流量調節機器を設置していない
背圧レギュレーターの主な機能および部品
背圧レギュレーターのしくみ
背圧レギュレーターは一次側圧力(上流圧力)をコントロールし、通常はラインの最後に取り付けます。逆に減圧レギュレーターは二次側圧力(下流圧力)をコントロールし、通常はラインの最初に取り付けます。両レギュレーターとも設定圧力に達した時に、流体の圧力による力と、スプリングの力とのバランスを取るように機能します。
一次側または二次側の圧力が上がったり下がったりしてこのバランスが崩れると、レギュレーターのダイヤフラムまたはポペットがシートに近づいたり離れたりします。このようなバルブの動きによって、レギュレーターのオリフィスを通る流れを調節して、レギュレーターは再度バランスをとります。
背圧レギュレーターの主な部品
背圧レギュレーターは、バイパスに分岐する流量を調節することで、分析器(図1のA)への圧力を維持します。流量調節機器(図1のR1およびR2)により、背圧レギュレーターは適切に圧力を調節することが可能になります。
図1は、分析サンプリング・システムにおける背圧レギュレーターの一般的なセットアップ方法を示しています。背圧レギュレーターは、分析器(図1のA)に不要な流れをバイパス・ラインへ分岐します。元圧が変化すると、背圧レギュレーターは一次側圧力を一定に維持するよう動作し、その結果としてバイパス・ラインの流量が変化します。これにより、分析器への流れを安定化できます。
図1:背圧レギュレーターの一般的なセットアップImage ©2013 "Industrial Sampling Systems"
背圧レギュレーターの一次側圧力を維持するため、上流には流量調節機器(一般的にはニードル・バルブ)を取り付けてください(図1のR1を参照)。もし背圧レギュレーターの上流に流量調節機器を設けなかった場合、背圧レギュレーターは一次側圧力を低下させるのに十分なガスを流そうとして大きく開きます。しかし、この方法では十分な効果は得られません。一方、流量調節機器が設けられている場合は、流量が増加すると流量調節部での圧力損失が増加し、二次側圧力の低下に役立ちます。
圧力レギュレーターや圧力計などの校正や試験サービスを利用する
サンプリング・システムの信頼性を確保するには、背圧レギュレーターを正確に校正することが不可欠です。スウェージロックでは、正確な圧力コントロールを維持できるよう、専門的な評価および試験サービスを提供しています。
背圧レギュレーターによくあるミスとは
サンプリング・システムの設計時によくあるミスとして、背圧レギュレーターだけで一次側圧力を制御できると想定し、流量調節機器を使用しないことが挙げられます。流量調節機器が無い場合、システム流量が変化しても圧力の変化はごくわずかか、あるいはほとんど変化しません。そのため、背圧レギュレーターは一次側圧力を下げようとして開度を大きくし、結果としてプロセス流体を無駄に排出する可能性があります。コントロール対象となる一次側圧力が変化しないと、レギュレーターが全開したままの状態が続く可能性があります。
分析器側の流量調節機器へプロセス・サンプルを大量に流すと背圧レギュレーターの一次側圧力が設定圧力を下回るおそれが生じるため(図1のR2を参照)、これも設計ミスであると言わざるを得ません。結果として、背圧レギュレーターは完全に閉じた状態となり、バイパス・ラインの流れが制限されることになります。適切にコントロールするには、上流の流量調節機器(R1)のサイズを、分析器の流量が最大になったとしてもある程度の流れが背圧レギュレーターを通過する程度にしてください。
背圧レギュレーターのセットアップ方法
図1のような機能のシステムをセットアップするには、まずR2を閉じてR1を調節し、適切な応答時間を満足する流量にしてください。次にR2を微調整して分析器に必要な流量にしてください。自動的にバイパス流量は同じ量が減ることになります。必要であれば、R1をゆっくり開いてバイパス流量を少なくとも分析器の流量と同じにしてください。これで、元圧が変化した際に、背圧レギュレーターは一次側圧力をコントロールすることができます。元圧が大きく変化することが予想されるのであればR1を調節し、最低元圧の状態においても、バイパス・ラインにわずかに流れが生じるようにしてください。
背圧レギュレーターと流量調節機器(R1およびR2)を組み合わせて圧力をコントロールすることで、分析器およびベント・ラインへの流量をコントロールすることができます。
背圧レギュレーターは、分析器への流れおよびバイパス流れをコントロールするため、ニードル・バルブのような流量調節機器をバイパス・ベント・ラインに使用する必要はありません。しかしながら、ニードル・バルブ無しのバイパス流量計を使用すると、背圧レギュレーターに流れが生じており、一次側圧力が制御されていることを確認することができます。
減圧レギュレーターおよび背圧レギュレーターを直列で使用する
図2:流量調節機器を介さずに直列に配置された減圧レギュレーターおよび背圧レギュレーター
Image ©2013 "Industrial Sampling Systems”
図2に示すように、背圧レギュレーターを減圧レギュレーターの直後に配置するのも適切な設計とは言えません。これは、2つのレギュレーターは同じ流体の圧力をコントロールすることができず、いずれかが機能しなくなるためです。
これを実証するため、2つのケースを考えてみましょう。1つ目は、背圧レギュレーターの設定圧力が上流の減圧レギュレーターから流れ込む圧力よりも高い場合です。この時、背圧レギュレーターのポペットがシートから離れて持ち上がり、背圧レギュレーターを通る流れを生じさせるのに必要な力が不足するため、背圧レギュレーターは閉じた状態になります。この場合、バイパス・ラインに流れは存在しません。背圧レギュレーターが閉じた状態のままだからです。
2つ目は、背圧レギュレーターの設定圧力が低い場合です。流量が増えるため、減圧レギュレーターから供給される圧力は、減圧レギュレーターの ドループ曲線 に沿って下がります。流量が劇的に増え、背圧レギュレーターの圧力・流量曲線に沿って、レギュレーターの一次側圧力が高まります。
圧力がどれだけ高まるかは、2つのレギュレーターの設定値によって決まります:
- 2つの設定値が近い場合、流量が増えて1つ目の減圧レギュレーターからのドループ圧力が2つ目の背圧レギュレーターへの積算圧力に等しくなります。しかしこれで流量が非常に多くなることになります。
- 2つの設定値がかけ離れている場合、流量が増えてレギュレーターはコントロール不能になります。1つのレギュレーターは圧力をコントロールする一方、もうひとつのレギュレーターは流量調節機器となります。
背圧レギュレーターのパフォーマンスに影響を与える要因
適切な背圧レギュレーターを選定するには、流量の安定性や材料の適合性といったパフォーマンス要因を総合的に検討しましょう。スウェージロックは、分析用ラボ・サンプリング・システム向けに、信頼性の高いさまざまな製品を提供しています。
図3: 図2の設計ミスによって、流量が多い状態で2つのレギュレーターが各々の設定圧力の中間にあたる圧力を維持しようとします。
Image ©2013 "Industrial Sampling Systems”
バイパス流量は、2つの設定圧力の差によって決まります。2つのレギュレーターの流量曲線が交差するところまで流量が増加します。一次側圧力が変化するか、分析器への流量が変化した場合、2つのレギュレーターは各々の設定圧力の中間にあたる圧力を維持しようとしますが、不安定な状態になります(図3参照)。
ただし、必ずしも2つのレギュレーターを直列で使用できないわけではありません。両方を適切に機能させるには、レギュレーターの間に流量調節機器を設置するというのが唯一の方法となります。図4を見ると、正しい設定値の下で流量調節機器を設置することで、両方のレギュレーターが本来の機能を果たし、かつ2つの流量調節機器の一次側、二次側で圧力がそれぞれ一定となることがわかります。この圧力が一定になることで流れが安定し、元圧やベント圧力の変動から分析器を保護できるようになります。
図4:流量調節機器を2つのレギュレーター(背圧レギュレーターおよび減圧レギュレーター)の間に使用すると、圧力や流れを効果的にコントロールすることができます。
Image 2013 “Industrial Sampling Systems”
背圧レギュレーターのメンテナンスで信頼性を確保する
背圧レギュレーターを適切に機能させるには、サンプリング・システムの設計を慎重に行い、レギュレーターで圧力をきちんとコントロールすることが求められます。圧力が高すぎたり、低すぎたりすると、システムが支障をきたしたり、時間遅れが生じたりするおそれがあります。
サンプリング・システムにレギュレーターをセットアップする際に疑問があれば、スウェージロックにご相談ください。スウェージロックのフィールド・エンジニアがお客さまの施設を訪問し、サンプリング・システムの評価、設計に関するアドバイス、トラブルシューティングを行います。また、スウェージロックの「プロセス分析サンプリング・システム(PASS)」または「サンプリング・システムの問題解決/メンテナンス(SSM)」などの トレーニング・コース を受講することで、サンプリング・システムの設計や使用方法について詳しく学ぶことができます。