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適切なレギュレーターを選定するには

レギュレーターの選択方法

流体システムのニーズに適したレギュレーターを選定するには

Wouter Pronk、シニア・フィールド・エンジニア、スウェージロック

多くの産業用流体システムや計装システムにおいて、圧力レギュレーター は、システムの変化に応じて希望する圧力や流量の維持/コントロールをサポートするという重要な役割を担っています。システムを安全かつ意図した通りに作動させるには、適切なレギュレーターを選定することが重要です。選定を誤った場合、効率性やパフォーマンスの低下、頻繁なトラブルシューティング、安全上の問題などが生じるおそれがあります。

適切なレギュレーターを選定する上で、レギュレーターのタイプ、しくみ、システムのニーズに合った使用方法を理解することが欠かせません。今回は、圧力レギュレーターとそのしくみ、およびシステムのニーズに適したオプションを決定する方法について紹介します。

圧力レギュレーターとは

圧力レギュレーターとは、システムの変化に応じて一次側または二次側の圧力をコントロールするための機械装置です。システムの変化には、流量、圧力、温度の変動といった、通常のシステム運用時に生じる可能性のある要因が含まれます。レギュレーターは、希望するシステム圧力を維持するという役割を担っています。ここで重要なのは、レギュレーターは、圧力設定に伴いシステム流量をコントロールするが、自己調整を行わない バルブ とは異なるということです。レギュレーターは、流量ではなく圧力をコントロールし、自己調整を行います。

レギュレーターのタイプ

レギュレーターには大きく分けて、減圧レギュレーターと背圧レギュレーターの2種類があります。

  • 減圧レギュレーター は、二次側圧力を感知し、自身の二次側圧力をコントロールすることで、プロセスへの圧力をコントロールします。
  • 背圧レギュレーター は、一次側圧力を感知し、一次側からの圧力をコントロールすることで、プロセスからの圧力をコントロールします。

どちらのレギュレーターを選定すべきかは、プロセス要件によって決まります。例えば、高圧のシステム流体をメインのプロセスに適した圧力に下げる必要がある場合は、減圧レギュレーターが適しています。一方、背圧レギュレーターは、システムの状態によって圧力が希望するレベルよりも高くなった場合に、過剰な圧力を放出することで、システム圧力のコントロール/維持をサポートします。このように、状況に応じて各タイプのレギュレーターを使い分けることで、システム全体で希望する圧力を維持することができます。

 

減圧レギュレーター プロセス  背圧レギュレーター    

 

レギュレーターのしくみ

圧力レギュレーターには、圧力を調節するための重要なコンポーネントが3つあります:

  •  調整エレメント(シートおよびポペット):シートは流体を確実に締め切り、逆流を防止します。ポペットはシートと連動し、流れているシステム流体をシールします。
  •  感知エレメント(ダイヤフラムおよびピストン):感知エレメントによって、ポペットがシート内で上下し、一次側または二次側の圧力をコントロールします。
  •  ロード式エレメント:レギュレーターには、 スプリング・ロード式 または ドーム・ロード式 があります。用途に応じて使い分けてください。ロード式エレメントによって、感知エレメントへの力を調整します。

上記のエレメントが連動して、希望する圧力にコントロールします。ピストンまたはダイヤフラムは、一次側圧力および二次側圧力を感知します。感知エレメントは、ロード式エレメントからの力と一次側圧力および二次側圧力のバランスを取ろうとします。ロード式エレメントは、ハンドルなどを回して調節します。 感知エレメントによって、ポペットがシートから離れたり近づいたりします。これらのエレメントが連動してバランスを保つことで、設定圧力を達成します。ある力が変化すると、他も変化せざるを得なくなり、バランスを取り戻すためです。

減圧レギュレーターは、4つの力のバランスをとることが求められます(図1)。つまり、 ロード力(F1)一次側のスプリングの力(F2)二次側圧力による力(F3) 一次側圧力による力(F4)です。トータルのロード力は、一次側のスプリングの力、二次側圧力による力、一次側圧力による力の3つの合計に等しくなければなりません。

背圧レギュレータのしくみも同様です。スプリングの力(F1)一次側圧力による力(F2) 二次側圧力による力(F3)の3つのバランスをとることが求められます(図2)。この場合、スプリングの力は、一次側圧力による力と二次側圧力による力の合計に等しくなければなりません。

適切なレギュレーターを選定するには

レギュレーターのしくみを理解しておくことで、各種レギュレーターの特性がシステムのニーズに合っているかについて、適切に評価することができるようになります。その中でも特に考慮すべき重要な特性は、以下のとおりです:

システム流量

適切なサイズのレギュレーターを取り付けることが、希望する圧力を維持する上で、重要な鍵を握っています。一般的に、適切なサイズはシステムの流量によって決まります。大型のレギュレーターは、大流量に対応しつつ効果的に圧力をコントロールする一方、小型のレギュレーターは流速が低い場合に効果を発揮します。また、レギュレーターの構成部品のサイズも重要です。例えば、低圧のアプリケーションをコントロールするには、サイズの大きいダイヤフラムやピストンを使用する方が効果的です。すべての部品は、システム要件に基づいて適切なサイズを選定してください。

システム圧力

レギュレーターの主機能は、システムの圧力を維持することです。したがって、選定したレギュレーターがシステムの最高圧力、最低圧力、作動圧力に合っているかを確認することが重要です。圧力調整範囲は、レギュレーターを適切に選定する上で重要であることから、通常 レギュレーターの製品仕様 に大きく記載されています。

システム温度

産業プロセスにはさまざまな温度のものがありますが、レギュレーターを選定する際は、想定されるオペレーション条件にレギュレーターが耐えられることを確認してください。環境要因に加えて、流体の温度や、圧力損失によって温度が急速に低下する ジュール・トムソン効果 などの要因も考慮する必要があります。

プロセスの感度

プロセスの感度は、レギュレーターの最適な調整モードを決定する上で、重要な役割を担っています。前述のように、大半のレギュレーターは、スプリング・ロード式またはドーム・ロード式のいずれかに分類されます。スプリング・ロード式レギュレーターは、外付けのノブ・ハンドルをまわすことで、感知エレメントに対するスプリングの力をコントロールすることができます。一方、ドーム・ロード式レギュレーターは、システム内の流体圧力を利用して感知エレメントに対する設定圧力を供給します。スプリング・ロード式レギュレーターの方が一般的で、なじみがあるという方が多いかもしれませんが、ドーム・ロード式レギュレーターは、高い精度を必要とするアプリケーションにおける精度向上をサポートするほか、オートメーション用途に適しています。

システム流体

レギュレーターのすべてのエレメントとシステム流体との材質の適合性は、部品の耐久性とダウンタイム(停止時間)の防止に重要です。ゴムやエラストマー製部品の自然劣化はある程度予想されますが、システム流体によっては、劣化が進行し、レギュレーターの不具合が早期に生じる場合があります。エラストマー・シールなどのレギュレーター部品の化学的適合性については、 材料科学トレーニング ・コースで詳しく学ぶことができます。

圧力レギュレーターのタイプとそのしくみについての知識を深めることで、適切な選定ができるようになります。サイズ、圧力と流量の要件、温度範囲、システムのニーズに合った調整モードといった情報は、レギュレーターのサプライヤーに確認しましょう。レギュレーターの選定を行う際は、まず レギュレーター流量曲線作成ツール を使用することで、さまざまなアプリケーションにおける各種レギュレーターの比較を行うことができます。詳細につきましては、最寄りのスウェージロック指定販売会社までお問い合わせください。

残念ながら、今回のコラム記事だけでは、個々のシステムのニーズまでカバーすることはできません。スウェージロックが提供する トレーニング では、適切なレギュレーターを選定することで、いかに効率を向上させながら安全性を高められるかについて理解を深めることができます。

さらに、レギュレーターのサプライヤーは、システム要件を理解した上で、正しい選定をサポートできるはずです。スウェージロックの経験豊富な専門スタッフは、豊富なアプリケーション知識とエンジニアリング・サポートを駆使して、お客さまのシステムに適したレギュレーターを選定するべくサポートいたします。レギュレーターのパフォーマンスの最適化に興味がございましたら、当社の専門スタッフまでお問い合わせください。

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