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バルブのタイプおよび機能

スウェージロックのバルブの種類

一般産業用バルブの基礎知識:バルブの基本的な機能およびタイプ

小口径流体システムは、世界各地において、工業系企業が高い生産力を維持する上で重要な役割を担っています。そして、小口径流体システムを機能させる上で重要な役割を担っているのがバルブです。

バルブにはさまざまなタイプがあり、流れを制御する方法はそれぞれで異なります。そのため、流体システムのオペレーターは入手可能なバルブのタイプを知り、かつバルブのさまざまな機能を理解して、アプリケーションに適したバルブを確実に選定することが重要になります。

バルブを適切に選定するべく、流体システムの設計者やオペレーターは、次のような点について考える必要があります。「流れを停止させたり、開始させたりする必要があるか?流れの方向を制御する必要があるか?流量レベルを調節する必要があるか?システムを過剰圧から保護する必要があるか?」こうした問いに答えていくことで、どのようなタイプのバルブが必要であるかが分かります。設計者やオペレーターは、さらにバルブの選定について細かく検討を重ねていくことで、アプリケーションに適したサイズおよび材料で、かつアプリケーションに必要な性能基準を満たしたバルブを確実に選定することができます(詳細につきましては、本コラム記事の最後をご参照ください)。

本コラム記事では、適切なバルブ選定の出発点となる「産業用流体システムに使用されるバルブのさまざまなタイプについて理解する」について検証します。アプリケーションに必要なバルブの機能を特定する際に参考としていただければ幸いです。

バルブ機能の基本を理解するバルブ機能の基本を理解する

バルブとは何か?
バルブとは、液体やガスの流れを制御し(すなわち、連続的かつ安定した動きにすること)、流体システムの理想的な動作条件に最も適した状態にすることを目的とした部品です。この制御は、流れを止める、流れを絞る、流れの方向を変えるといった方法で行います。液体やガスは、圧力が高い方から低い方へと流れます。通常、流量は流量計で測定し、単位時間当たりの距離または体積の比率で表します(例:1秒当たりのメートル数、1日当たりのガロン数、1分当たりのリットル数など)。

バルブはどのように機能するのか?
バルブは、バルブのエンド・コネクション・サイズやバルブの流路といった要因に基づいて流れを制御します。流れを制御するバルブの性能を調べる際は、メーカーが提供している流量係数(Cv値)を参照してください。Cv値が大きいほど流量が多いことを意味しますが、必ずしもCv値が大きければ良いわけではありません。タイプやアプリケーションによっては、Cv値がゼロに近いバルブも存在します。 スウェージロックが提供しているCv値計算ツールを使用すると、システム内の圧力、流量、温度、流体に基づいて、バルブに必要なCv 値を調べることができます。

Cv値計算ツールを試す

バルブをどのように分類するのか?

産業用流体システムにおいてバルブが担っている主な機能とは、「開閉」、「流量制御」、「方向制御」、「過剰圧の保護」、「過流防止」の5つです。各バルブには、配管計装図(P&ID)上でよく見かける業界標準記号が割り当てられています。バルブの分類方法および各タイプに該当する記号の両方を理解しておくと、P&ID上のバルブ記号および図示されたバルブの機能との関連性がすぐに分かるため便利です。


  1. 開閉:最も基本的なバルブの機能です。開閉用バルブは、流体の流れを開始または停止させます。基本的な機能ながら、開閉用バルブはさまざまなタイプから選ぶことができます。例えば:

    • ボール・バルブ:ハンドルを使用してバルブ内のボールを回転させることでバルブを通る流体を止めたり流したりして、信頼性の高い締め切りを実現します。
    • プラグ・バルブ:ボール・バルブと同様に機能しますが、ボールが無い点が異なります。プラグ・バルブは、ハンドルを使用してバルブ内のプラグを回転させることで、流体を止めたり流したりします。
    • ベローズ・シール・バルブ:ベローズ・シール・バルブの特徴は、長い円筒状のステムに伸び縮みするベローズが付いていることです。ハンドルを回すとアクチュエーターがベローズに押し付けられ、正確に流体を遮断します。
    • ダイヤフラム・バルブ:ベローズ・シール・バルブと同様に動作しますが、アクチュエーターがバルブ・ステム内のベローズを圧縮する代わりに、柔軟なダイヤフラムを押し下げて流体の流れを止めます。

    開閉用バルブの記号開閉用バルブは、流体システムの安全性を維持する上で重要な役割を担っています。大半の流体プロセスのオペレーションは高圧・高温下で行われますし、流体の中には有害なものもあります。そのため漏れを阻止してオペレーターに危険が及ばないようにすることが極めて重要です。安全締め切り用バルブを使用すると、漏れが生じた際に、流体の流れをすぐに遮断することができます。開閉用バルブ(またはボール・バルブ)は、P&ID上では蝶ネクタイ形の記号で表します。

  2. 流量制御:このタイプのバルブは、システムを通る流れを調節します。単純な流量調節のほか、微量流量調節に使用することも可能です。ニードル・バルブ を使用すると、流量を制御したり、絞ったりすることができます。ハンドルを回してアクチュエーターを微調整し、ステム先端のニードルで流量を制御・遮断します。流量制御用バルブの記号

    ニードル・バルブは必要に応じて、ベローズ・シール・バルブやダイヤフラム・バルブと同様に開閉することも可能ですが、主な目的は流量を制御することです。流量は、オリフィスのサイズ、ステムのタイプ、ステムの位置によって決まります。ご覧のとおり、流量制御用バルブ(またはニードル・バルブ)は、P&ID上では開閉用バルブに似た記号で表しますが、バルブ内での流量制御機能を示す下向きの三角形が追加されている点が異なります。

  3. 方向制御:このタイプのバルブを使用すると、流体を希望する方向に流すことができるほか、システム内の流れの方向を変えることもできます。逆止弁 およびマルチポート・ボール・バルブを使用すると、 流れの方向制御を行うことができます。 逆止弁は逆流を防止し、流体の流れを一定方向に維持します。マルチポート・ボール・バルブは、他のボール・バルブと同様に開閉することが可能ですが、ハンドルを回してさまざまな方向に流体を流すことができます。方向制御用バルブの記号

    重要なポイントとして、方向制御用バルブは、流れを変える際に開閉することは可能ですが、流量を絞ることはできないことに留意してください。方向制御用バルブ(または逆止弁)は、P&ID上では2本の線の間に右下がりの矢印がある記号で表します。

  4. 過剰圧の保護:このタイプのバルブを使用すると、システムの圧力が規定値を超えて上昇するのを防止することができます。圧力逃がし弁 およびラプチャー・ディスクは、最もよく使用されているバルブのタイプです。圧力逃がし装置は、加圧下で稼働するあらゆるシステムにおいて非常に重要な役割を担っており、ブローアウトにつながりかねない過剰圧に対する最後の砦ともいうべき存在となっています。圧力逃がし弁は、所定の圧力レベルで自動的に開状態になるように、または加わる圧力に比例して徐々に開くように調整することが可能です。また、ブリード・バルブ過剰圧保護用バルブの記号およびパージ・バルブを使用して流体のブリード、ベント、ドレンを行うことで、流体システムのメンテナンスやオペレーションを安全に行うことができます。

    過剰圧保護用バルブを使用すると、過剰圧からプラントを保護しつつ、生産を継続することができます。過剰圧保護用バルブ(または圧力逃がし弁)は、P&ID上では交差する2つの三角形の上にアンテナ状のものがある記号で表します。

  5. 過流防止:エクセス・フロー・バルブ(過流防止弁) もまた、システムの安全を確保する役割を担っています。バルブを通過する流量が所定の値に達すると作動し、システム流体の過剰流出を阻止します。バルブの二次側で流れが過剰になると、バルブのポペットが瞬時にトリップ位置または前方位置に移動し、システム流体の過剰流出の大部分を阻止して流体の放出を最小限に抑えます。その後、一次側と二次側の圧力が均等になると、エクセス・フロー・バルブ(過流防止弁)がリセットされます。

    過流防止用バルブの記号エクセス・フロー・バルブ(過流防止弁)を使用すると、複雑なバイパス機構が不要になるため、メンテナンス時間を削減することができます。過流防止用バルブは、P&ID上では片側が狭くなっている長方形の中央に円がある特徴的な記号で表します。

流れを示すバルブの断面図

適切なタイプのバルブを選定するには

産業用流体システムに使用されているSwagelokボール・バルブ

流れとそれを制御するためのさまざまなタイプのバルブについて十分に理解することで、流体システムの設計において適切な選定を行うことができます。 しかしながら、本コラム記事はあくまでも入門編にすぎません。次のステップとして、STAMPEDメソッドを用いて産業用流体システムに適したバルブを選定する方法について紹介している コラム記事 も併せてご一読ください。

また、バルブの選定や識別、トラブルシューティングについて詳しく知りたい方は、 スウェージロック基本セミナー の受講をご検討ください。この他にも、スウェージロックの認定トレーナーが講師を務めるさまざまなコースでは、高性能な流体システムを構築/運用するのに必要な知識や技術を学ぶことができます。 コースや内容の詳細につきましては、下のボタンをクリックしてください。

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