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蒸気熱交換器と蒸気トレース・システム:設計エンジニア向けのベスト・プラクティス

蒸気熱交換器と蒸気トレース・システム: 設計エンジニア向けのベスト・プラクティス

2018年12月5日 | Alex Chu、一般産業向け蒸気システムSME、フィールド・エンジニアリング部門

適切な蒸気熱交換器や蒸気トレース・システムを設計するには、まずそれらのシステムが稼働する場所の運用特性を十分に理解しておくことが必要です。 思ったような性能が得られなかった原因を調べてみたところ、設計エンジニアが蒸気システムの特性を十分に考慮していなかったためというケースは珍しくありません。 蒸気システムの使用条件や関連資料は、徹底的に調べましょう。 アプリケーションの背景を把握していないと、システム・コンポーネントの選定や調節で失敗するのも当然の話です。

設計や製品の選定に関する共通課題

一般産業向け蒸気システムを設計する際は、不具合の早期発生や、想定した性能が得られないといった問題を防止するため、基本的な部分を十分に考慮しておきましょう。 スウェージロック社がさまざまな場所や業界で一般産業向け熱伝達アプリケーションを調査したところ、問題の大半は不適切なコンポーネントの選定や取り付け手順が原因で発生していることがわかりました。
問題の例:

  • 最終成果物の品質が許容水準を満たしていない
  • コンポーネントの早期不具合が生じる
  • 温度管理が不適切
  • 熱伝達が不十分
  • ウォーター・ハンマー
  • 熱伝達装置が故障する
  • 条例や規格に違反する

  • 蒸気システム設計のベスト・プラクティス

    簡単なガイドラインと、現場で培ってきたテクニックに従うことで、一般産業向け蒸気システムの設計に関する問題の大半は回避することができます。蒸気熱交換器や蒸気トレース用のコンポーネントを選定する際は、蒸気システムの設計・メンテナンス・仕様プログラムの段階で、これから紹介するベスト・プラクティスを実践することをお勧めします。

    1. 蒸気供給時の凝縮水の蓄積および残留を防止する

    蒸気調節用バルブは、蒸気の流量を0~100%に調節することができますが、流量がわずかな場合や流量が全く無い場合、調節用バルブの入口の手前で凝縮した水が蓄積し、ウォーター・ハンマーが生じるおそれがあります。 また、凝縮した水が蒸気調節用バルブを通過すること自体が、バルブの早期不具合を招くこともあります。

    蓄積した凝縮水は、さまざまな方法で除去することができます。 代表的な方法だけでも、バルブ手前にドリップ・レッグと呼ばれる排水管を取り付ける、断熱性を改善する、蒸気ラインの勾配を最適化する、バルブ手前にスチーム・セパレーター(汽水分離器)を取り付ける、などが挙げられます。 これらの方法は、凝縮自体の発生を抑える、または調節用バルブを介さずに凝縮水をスチーム・トラップで排出する、のいずれかを行っています。

    2. 調節用バルブのターンダウン比に関するガイドラインに従う

    プロセスの温度調節を効果的に行い、シート本来の寿命を維持するには、適切なサイズの調節用バルブを選定してください。 調節用バルブを選定する際の重要項目の1つが、バルブのターンダウン性能(流量調節可能範囲)です。

    すべてのバルブには、(特にバルブのストロークが最大になった時に)制御ができなくなる流量が存在します。これは、シールの耐性と流量の直線性に応じて決まります。

    調節用バルブのターンダウン比については、以下のガイドラインを参考にしてください:

  • ケージ調節 = ターンダウン比40:1の場合に最高の調節性能を発揮
  • グローブ調節用バルブ = ターンダウン比30:1
  • 流量調節バルブ = ターンダウン比20:1
  • 調節用バルブのサイズを間違った場合、プロセスの温度をうまく調節できない、バルブ・シートが早期に摩耗する、過剰なノイズが発生するといった問題が生じるおそれがあります。

    3. 調節用バルブの前後に圧力計を取り付ける

    圧力計のデータからシステム内部の状態を読み取ることができます。 調節用バルブの前後と、スチーム・トラップに続く凝縮水のリターン・レッグ(戻り部)に圧力計を取り付けることをお勧めします。 これで正確なデータが得られるため、蒸気熱交換器を通過する蒸気の圧力特性を知ることができます。 また、すべての圧力計には、高温による損傷を防止するためのコイル・スチーム・サイフォン(ピグテール)、およびメンテナンスの際に必要なダブル・ブロック・アイソレーション用バルブを取り付けてください。

    4. バキューム・ブレーカーを取り付ける

    蒸気供給の遮断が可能で、かつ外部への排出がない蒸気システムには、バキューム・ブレーカーを取り付けてください。 こうしたシステムには、蒸気ライン、ケトル、プレート、シェル、チューブ熱交換器などの装置が設置されています。 蒸気は、装置内部で冷却されると凝縮しますが、凝縮水の体積は最大でも気相時の合計体積のわずか1/1700しかないため、真空状態が発生することになります。

    バキューム・ブレーカーは、システムが停止した際に真空の発生を抑えて蒸気システムを保護し、内部破壊を防止します。 一般的には、スチーム装置すべてにエアー・ベントを取り付け、装置メーカーが指定するポイントにバキューム・ブレーカーを取り付けることをお勧めします。

    5. 自動エアー・ベントを取り付ける

    蒸気システムの停止時およびメンテナンス時には、空気が侵入します。 システムを再稼働させる前に、侵入した空気を必ずパージしてください。 蒸気熱交換器システム内に空気が存在すると、さまざまな形で熱伝達に悪影響を与えるばかりか、システムの始動が遅れることも少なくありません。 システム内の空気が熱伝達面上に形成した薄い境界層によって断熱効果が生まれ、熱伝達を妨げてしまうためです。 わずか1/1000 インチの空気膜でも、厚さ13 インチの銅または3 インチの鋳鉄と同じ断熱効果があります。

    スチーム・トラップを使用して空気を排出しないでください。スチーム・トラップは、システムの最も低い位置に取り付けられるのに対し、熱い空気は最も高い位置に滞留する傾向があるためです。 自動エアー・ベントを使用すると、蒸気システム内の空気を効率的に除去することができます。 蒸気のメイン・ラインの端、または装置の最も高い位置に、バキューム・ブレーカーと共にエアー・ベントを取り付けてください。空気が存在すると、エアー・ベントが自動で排気を行います。

    6. 熱伝達装置内の背圧を回避する

    蒸気システムの熱伝達装置を設計する場合、重力または差圧を利用して凝縮水のドレンを行いますが、熱伝達装置を取り付けて重力でドレンを行うことができれば、スチーム・トラップの前後で高さを変更する必要がありません。 これは、蒸気調節用バルブの調節が必要なアプリケーションでは欠かすことはできません。 重力でドレンできないアプリケーションでは、スチーム・トラップや調節用バルブなどの凝縮装置に過度な背圧がかからないように注意してください。 想定外の背圧がドレン装置にかかると凝縮水が装置に蓄積し、早期破損や性能上の問題が発生するおそれがあります。 これは、ウォーター・ハンマー、温度管理の不備、効率低下、腐食といった問題につながることになります。

    7. 過熱蒸気を避ける

    一般的な蒸気加熱アプリケーションでは、100%飽和蒸気の供給が必要です。 100%飽和蒸気とは、凝縮水がまったく存在しない状態を指します。 熱伝達プロセスでは、過熱蒸気(沸点以上の温度に加熱された蒸気)を使用しないでください。 過熱蒸気は、単位体積あたりのエネルギーが飽和蒸気よりも低いため、蒸気システムの初期設計でそれを想定していなかった場合、性能上の問題が発生するおそれがあります。 デスーパーヒーター(減温器)を取り付けると、過熱蒸気の供給を調整することができます。

    8. ボール・バルブでロックアウトする

    ボール・バルブは、蒸気システムを漏れなく遮断することができるため、安全性、信頼性、コスト効率性に優れたソリューションとなります。 また、遮断の状態をハンドルの向きで素早く確認することができます。 2 インチ・サイズ以下のボール・バルブにはロッキング・ハンドルを取り付けることができるため、ロックアウトやタグアウトによる効果的な安全対策が可能になります。 蒸気システムのロックアウトやタグアウトの手順については、安全性や検査を管轄する部署と協力し、施設や現地の規則に則っていることを確認してください。

    9. 適切なサイズのスチーム・トラップを選定する

    スチーム・トラップの機械設計にはいろいろなものがあります。 さまざまなアプリケーションに応じた設計があり、その信頼性にも差があります。 蒸気熱交換器のアプリケーションには、メカニカル・タイプのスチーム・トラップが流量を調整する上で最も適しています。 蒸気トレースの場合は、アプリケーションに応じてさまざまなタイプのスチーム・トラップを選定することができます。

    スチーム・トラップを選定する際は、サイズも考慮してください。サイズは、最大/最小流量、エアー・ベント/機能テストの要件、取り付けオプションなどに基づいて決定します。 小型のスチーム・トラップの場合、スウェージロックではメンテナンスや交換が容易なユニバーサル・マウントの使用をお勧めしています。

    特に閉ループのリターン・システムの場合、特殊な装置を使わなくてもスチーム・トラップをテストすることができるというメリットがあります。 二次側にバイパスを設けることで、凝縮水除去の様子を簡単かつ素早く目視で確認することができます。

    10. ストレーナーを取り付け、異物混入によるコンタミネーションを防ぐ

    蒸気ライン内のコンタミネーションは、腐食およびその副産物が原因で発生します。 アイソレーション・バルブのシート、スチーム・トラップのシートの内部にコンタミネーションが滞留すると、コンポーネントの早期破損や汚損の原因となります。 そこでストレーナーをフィルターとして使用することで、蒸気システムへの異物混入を防止することができます。

    ストレーナーを使用する際は、必ずロックアウト機構が付いたブローダウン・バルブを取り付け、除去した異物を安全な場所に排出するようにしてください。 ストレーナーは、ろ過部分が水平になるように取り付けてください。これでストレーナーのボディ内部で凝縮水が蓄積するのを防止することができます。

    お客さまの施設における蒸気システムの性能向上について詳しく知りたい場合は、スウェージロックが実施しているトレーニング・コースの受講をご検討ください。同トレーニングでは、現在の業界と独自のニーズに合わせた蒸気システムの管理方法を学ぶことができます。現在の施設を使った社内トレーニングをご希望の場合は、 最寄りのスウェージロック指定販売会社 までお問い合わせください。

    蒸気用途に関するスウェージロック・トレーニング・コースの詳細を見る

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