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アプリケーションを最適化し、半導体ファブの収益性を高める

収益性の高いファブ・オペレーションを実現するための流体システムにおける3つの重点分野

世界の 半導体 市場は、飛躍的な成長を続けています。米国半導体工業会(SIA)は、世界の半導体産業の2022年度総売上高が過去最高額となる5735億ドルに達し、2021年の総売上高5559億ドルの3.2%増になったと 発表 しました。

需要を満たすには、新しい半導体ファブの建設、ならびに既存ファブの最適化が欠かせません。2022年下期には、米国だけで46件もの半導体ファブの新規プロジェクトが 発表 されました。しかし、このデータはあくまで氷山の一角にすぎず、今後数年間で需要が急増するものと見込まれています。

数十億ドル規模の半導体製造施設のオペレーションに必要な流体システムおよびアプリケーションは、数え切れないほど存在します。半導体ファブでは、デバイス製造能力のリスクを軽減するべく、デバイス製造プロセスの最適化はもちろん、施設全体において高純度ガスおよび薬液供給システムを最適化することも必要です。

半導体ファブのチラー装置(A)、バルク特殊ガス供給システム(B)、建設中に施設全体で行われる円周溶接は、いずれも極めて重要なアプリケーションです。

そこで、世界各地の半導体メーカーをサポートする スウェージロックのフィールド・エンジニア 3名に、自身の経験から、ファブ内の重要な流体システムにおいて、コスト、労力、時間を削減する方法について話を聞きました。

半導体エンジニアリングの課題を評価する

新規ファブの建設用アルゴン

図1:不適切なアルゴン流量で行われた溶接。溶接ビードの変色が見られる。

半導体ファブの新規建設は、非常に大きな事業です。一般的に、重要な流体システムを構築する際は、多数の現場のエンジニアリング、調達、建設会社(EPC)が取り付け作業に関与し、時には数百人もの溶接工が同時に重要な流体システムを構築することも珍しくありません。

施設内のすべての溶接個所において、パージに適したレベルのアルゴン流量を維持する必要があります。溶接ビードの酸化やコンタミネーションを防止するパージは、一般産業用溶接アプリケーションにおいて重要なのはもちろん、高純度や超高純度のアプリケーションでは特に重要です。

指定されたアルゴン流量で溶接が行われているか
否かは、溶接部の色を見るとわかります


マーガレット・ブレナン

スウェージロック・サウスウェスト
フィールド・エンジニア  

 

「シュガー」と呼ばれることもある変色(図1)が顕著な場合は、溶接する配管の内部を流れるアルゴンが不十分であることを示しています。これは、半導体の流体システムにおいては容認できるものではありません。コンタミネーションにつながるだけでなく、溶接部の健全性にも悪影響を及ぼすおそれがあります。

図2:適切なアルゴン流量で行われた溶接。変色は見られない。

建設プロジェクトの効率化に欠かせない高品質な溶接を一貫して行うには、2つの重要なポイントがあるとブレナンは述べています。

「まず、溶接工は溶接ポイントから溶接ポイントへ移動する際に、建設用アルゴンを準備しておくことが求められます。溶接工が 可動式で人間工学的にも使いやすいパージ・スティックやパネル を使用することで、溶接ポイントから溶接ポイントへ効率よく移動し続けることができます」

2つ目のニーズは、さらに複雑です。多数のEPCからスキルのレベルが異なる溶接工が集まって、一斉に現場で作業することもあるでしょう。また、半導体製造は新しいファブでできるだけ早く立ち上げる必要があるため、施設のオーナーは、半導体の流体システムを手掛けた経験のないEPCと契約するケースも考えられます。

適切なアルゴン流量で溶接が行われていなかった場合、コンタミネーションが生じ、溶接に悪影響を及ぼすおそれがあります。

「大手半導体メーカーは、高純度や超高純度のシステムに何が必要かを知っていますが、雇われた請負業者が同レベルの知識を持ち合わせているとは限りません」とブレナンは述べています。「つまり、トレーニングが重要になるということです。ファブは至る所で建設されており、半導体メーカーが雇う請負業者は、例えばオイル/ガス・マーケットの流体システム以外の経験が乏しいということも考えられます。大半の請負業者が、半導体特有の溶接の複雑な技術を現場で学んでいることも珍しくありません」

ブレナンは、溶接工のトレーニングを行うことで、円周溶接機による一貫性および信頼性を備えた溶接を実現し、コンタミネーションの可能性を最小限に抑えることに注力しています。

「半導体流体システムにおけるコンタミネーションの影響は甚大です」とブレナンは述べています。「そのため、効率的かつ効果的に作業を行うのに欠かせないスキルを建設業者に習得していただき、ファブ建設がスケジュール通りかつ予算内に収まるよう取り組んでいます」と述べています。

溶接トレーニングの詳細はこちら

チラー装置用の断熱ホース

一貫した再現性のあるデバイス製造プロセスに適した温度を維持するには、チラー・ホースなどの高品質で漏れが無く、断熱された流体システム部品を使用する必要があります。

 

チラー・ホースは、熱交換器用流体の目標温度を
極限まで維持することが求められます。


チラー・ホースは、半導体製造プロセスにおいて、薄膜の蒸着やエッチングを行うチャンバーに冷却液を供給するため、熱交換器用流体の目標温度(最先端プロセス・ノードでのドライ・プラズマ・エッチングでは-90°Cまで)を極限まで維持することが求められます。ホースは氷点下で液体を移送するため、適切に断熱を行っていなかった場合、ホースに結露が発生するという望ましくない状況が生じる可能性が高くなると、スウェージロック・ジャパンでフィールド・エンジニアを務める松本 隆は述べています。

結露は、半導体ファブにとって大きな問題です。
チラー・ホースから水滴がしたたり落ちると、
サブ・ファブ内のサポート装置の電気部品が損傷し、ウェハ処理装置が停止するおそれがあります。また、結露した水滴は、その外観から危険な化学物質と誤認されることもあります


松本 隆

フィールド・エンジニア
スウェージロック・ジャパン

 

 

松本によると、結露を防止するには、高性能な断熱材 およびホースの最適なレイアウトの2つが必要です。

「半導体業界では、チラー・ホースの断熱材としてEPDMフォームが広く使用されていますが、EPDMフォームは経年劣化によるパフォーマンスの低下やパーティクルの発生が懸念されます」と松本は述べています。「また、チラー・ホース同士のレイアウト間隔が近すぎた場合、結露が生じる危険性が高まります。適切にレイアウトするのは容易ではありません。一般的に、チラー・ホースは、すべてのチューブ・システムを取り付けてから、最後に取り付けます。ホースの最大曲げ半径を超えないようにするといったホースのベスト・プラクティスに従いつつ、ホース同士のレイアウト間隔が近くなりすぎないように注意する必要があります。スウェージロックのフィールド・エンジニアリング・チームは、多くの時間を費やして、ホースの選定、取り付け、レイアウトのベスト・プラクティスに関する重要な要因をお客さまに理解していただくよう努めています」

 

バルク特殊ガス供給システム

半導体製造プロセスでは、数多くの不活性ガスや高純度特殊ガス(アンモニア、塩化水素、三塩化窒素など)を、ボンベやタンクから製造装置まで確実かつ繰り返し供給することが求められます。そのためには、特殊なニーズに対応するよう設計された ガス供給システム が欠かせません。

バルク特殊ガス供給システムの目的のひとつに、システム全体に不要なエアー、酸素、水分などの不純物が侵入しないようにすることが挙げられます


トニー・チャオ

フィールド・エンジニア
スウェージロック台湾

すべてのステンレス鋼が同じように作られているわけではありません

ステンレス鋼において、耐食性や延性の鍵を握っているのがクロムおよびニッケルです。しかし、どのバー・ストック(棒鋼材)も同じというわけではありません。ASTMの最低基準よりも高いレベルのニッケルおよびクロムを含有するステンレス鋼を使用することで、優れたパフォーマンスを実現することができます。

 

「ガス・キャビネットの漏れ防止は、安全性の維持に欠かせません。大気中に漏れ出したガスは有毒であったり、引火性が高かったりするためです」とスウェージロック台湾でフィールド・エンジニアを務めるトニー・チャオは述べています。

「バルク特殊ガス・アプリケーションでは、高品質のチューブ、チューブ継手、バルブ、圧力レギュレーターといった重要なガス供給部品が必要です。危険なガス漏れを防止するには、すべての部品が高品質な材料から製造されている必要があります」とチャオは述べています。

「このタイプのガスは、腐食性が高いことが多く、すべての部品に高品質なステンレス鋼を使用することが望まれます。腐食が生じると、超高純度プロセスにおいて好ましくないコンタミネーションにつながり、漏れの原因になることもあります」

部品の信頼性以外にも、バルク特殊ガス供給において注意すべきことが存在します。システム設計を適切に行い、ベスト・プラクティスに従うことで、予想外のダウンタイム(停止時間)を防止し、安全性を向上させ、24時間365日のファブ・オペレーションを実現することができます。

「当社は、半導体用ガス供給システムの設計およびエンジニアリングにおいて長年にわたる経験を有しています。お客さまのシステムのパフォーマンスを最適化し、問題が生じている場合は、トラブルシューティングをサポートします」と、チャオは述べています。「この種のシステムに携わるEPCは、石油化学業界の出身であることが少なくありませんが、当社は半導体業界で培ってきた見識を提供します」

サブシステムの設計支援に関する詳細を見る

アルゴン・ガスによる円周溶接、断熱チラー・ホース、バルク特殊ガス・システムは、施設内の生産性、効率、収益性を最大限に高めるべく、半導体メーカーが最適化することが可能な流体システム・アプリケーションのほんの一例にすぎません。

ファブ内のこういった流体システム・アプリケーションについてサポートが必要な場合は、スウェージロックの フィールド・エンジニア にご相談ください。高純度用および超高純度用部品の仕様、パフォーマンスを最大化するための流体システムの改善提案、歩留まりを最大化するための流体システムのメンテナンスをサポートします。最寄りのスウェージロック指定販売会社までお問い合わせいただければ、専門スタッフが適切なアドバイスを提供いたします。また、コラム記事では、重要な半導体用流体システム・アプリケーションの取り扱い方法について、詳しく紹介しています。

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