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プロセス分析テクノロジーのROIを計算する

工場稼働プロセス分析器

プロセス分析テクノロジーのROIを計算する

サンプリング・システムを構成する測定装置の中で、プロセス分析器が最も高額であることは間違いありません。 そのような高額な装置を導入する際は、「投資利益率(ROI:Return On Investment)」を調べて、導入コストに見合うかを示すよう求められることもあります。 幸いにも現在のプロセス分析テクノロジーのROIは非常に優れていますが、システム設計に問題があるとROIがマイナスになるケースもあります。

プロセス分析テクノロジー のROIを分析するには、分析器の購入時にかかった初期費用に総所有コストを加算し、見込み経費を算出します。 次に、分析器の導入によって見込まれる利益と、それに伴う節約額を算出します。これには、製造高の増加やダウンタイム(停止時間)の削減なども含まれます。 このような分析を行うことで、「この分析器を導入することで1日当たり1,000ドルの節減効果がある」といった報告も可能になります。

分析器による測定は、仕様に合った製品を、安全な方法かつ最低限のコストで必要な量だけ製造することを目的としています。 手動操作/自動操作に関わらず、複数の分析器をプラントで使用することで、「安全と環境」「プロセス管理」「品質保証」という3つの主要カテゴリーにおいて、上記の目的を達成することができます。 それでは、ROI分析に影響を与える特性を、カテゴリー毎に見ていきましょう。

安全と環境

流体処理プラントにおいて、最も大切なのはプラント内外の安全性を確保することです。 プロセス分析テクノロジーによって、各種装置とその周囲の人に対する危険要因を洗い出すことができます。 激しい化学反応が起きると、配管や装置などの損傷ばかりか、人的被害まで発生しかねません。これを防止することができる数少ない方法のひとつが、迅速なデータ分析なのです。 この点だけでも、高度なプロセス分析器を導入する価値があるといえます。

また、国や地域が定める環境コンプライアンス要件を順守する必要があります。 例えば、大半の地域では、連続排出モニター・システム(CEMS)や排水分析が法律で義務付けられています。 このような規制に準拠するには、コストやROIに関わらず、安全性モニターや環境モニターをプラントに取り入れることが必要です。

プロセス管理

分析結果に基づき、微調整をプロセス流路に加えて製品の質を維持することで、プラントの収益を上げることができます。 なお、プラントにおけるプロセス管理の方針が、最新の市場状況によって変わることも少なくありません。 つまり、需要があまり高くない状況ではプラントの稼働率を調整し、要求品質を維持しつつ製造コスト(消費エネルギーや廃棄の費用を含む)を最小限に抑えます。 一方、製造した端から飛ぶように売れるような状況では、スループットが何よりも重要になります。

市場がどのような状況であっても、常に求められるのは仕様に適合する製品を製造することです。 莫大なコストをかけて低品質の製品を製造するのは不経済であり、仕様に適合する製品、あるいは仕様を上回る製品を常に製造しなければならないのは言うまでもありません。

製品品質プレゼントチャート

管理システムは、品質のばらつきを抑えることで、必要以上に高い品質の製品を産出する無駄を省くことを目的としています。 この考え方を視覚化したものが上のグラフです。 製品の質のばらつきが大きい場合(青い曲線)、プラントでは必要以上に高い平均品質を維持することで、すべての製品が仕様内に収まるように図ります。 ただし、このような過剰品質は、製造コストの増大またはスループットの低下、あるいはその両方を招くおそれがあります。 もし分析測定と管理を行って品質のばらつきを抑えることができれば(緑の曲線)、平均品質を仕様の限界値近くまで下げることで、仕様に適合する製品を効率的に、かつ大量に製造することが可能になります。

管理用プロセス分析器のROIは、スループット増加による評価額、または稼働コストの削減額から求めることができます。

品質保証

プロセス分析器による測定の精度は、製造者の収益を左右しかねません。分析を誤ると、最悪の結果を招くこともあります。 分析器の校正が適切でなかったというだけで、仕様から外れた製品が顧客の元に届く、あるいは完璧な製品であるにも関わらず検収拒否・廃棄・再処理に回されるおそれもあります。 後者についてはプラントのデータに基づいて具体的な損失額を算出することができますが、仕様の不適合によって顧客を失うようなことになればその損失は計り知れず、ビジネスを揺るがす事態すら招きかねません。 プロセス分析器によってこのような問題が回避できるのであれば、その導入コストや総所有コストは妥当であるといえます。

さまざまなコストを把握する

分析器を購入する前に、関連する費用をすべて洗い出しましょう。 これには設備投資としての分析器の取得、設置、立ち上げといった初期費用も含めます。 ここから分析器が故障するまでのネット・キャッシュ・フローがROIとなります。

一般的に、分析器関連の設備投資費用には、次のような項目があります:

  • サンプリング調整システム
  • ラック、パネル、オープン・シェルター、空調付き分析小屋
  • プローブ、ポンプ、フィールド・ステーション
  • 設置作業(ファスト・ループの取り付けや廃棄処理を含む)
  • 立ち上げおよび試運転
  • 初期の予備品在庫

空調付き分析小屋に各種分析器を取り付けた際の概算コストについては、下の表をご覧ください。 コスト・カテゴリーは一律20%としています:

空調付きハウジングに分析器を取り付けた際の概算コスト

コスト・カテゴリー

コスト

概算カテゴリー

分析器

20%

原料費

(分析器のコスト×3)

システムの委託コスト

(分析器のコスト×4)

全面的な関与コスト(プロジェクト管理を含む)

(分析器のコスト×5)

サンプリング・システム

20%

分析小屋

20%

設置、立ち上げ

20%

プロジェクト管理

20%

プロジェクト・コスト

100%

概算としては、分析器のコストを合計して、原料費を求める場合は3倍、システムを委託する場合は4倍、プロジェクト管理まで含める場合は5倍します。 この算出方法は、各種分析器(ガス・クロマトグラフを含む)でも使用することができます。 ただし、核磁気共鳴(NMR)装置のような高価な分析器の場合は概算額は高くなり、安価な分析器(酸素分析器、pH分析器、伝導率分析器など)の場合は低くなります。

新しく分析器を購入するにあたって費用対効果を示す必要がある場合、簡単な表計算ソフトを使ってROIを算出することができます。 大半のプラントでは50%以上のROIが見込めることでしょう。 分析結果をきちんとまとめて、分析器がもたらす利益を正しく理解しておくことが大切です。 測定値に誤りがあると、いつか損害金の支払いを求められるような事態につながりかねません。 また、プラントの不具合をたまたま見つけることができれば、高額なプラント関連費用を抑えられるかもしれません。

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