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レギュレーターを使用して分析計装システムにおける時間遅れを短縮する方法

レギュレーターを使用して分析計装システムにおける時間遅れを短縮する方法

2019年4月3日 | Jon Kestner、製品マネージャー

温度圧力などのプロセス測定は一瞬で出来ますが、分析器の応答はそうはいきません。 取出し口から分析器に到達するまでの間に、常に時間遅れが発生します。 残念ながら、時間遅れが軽視されていたり、誤解されていたりするケースは少なくありません。

分析計装システムにおける時間遅れとは、新しいサンプルが分析器に到達するのにかかる時間を指します。 この時間遅れは、レギュレーターでコントロールすることができます。 レギュレーターは圧力をコントロールする装置ですが、分析システムにおける圧力は、時間と密接に関わっています。 例えば、流量が一定に制御されているガス・システムでは、圧力が低くなるほど時間遅れも小さくなります。

時間遅れは、プロセス・ライン、取出し口とプローブ、フィールド・ステーション・モジュール、中継ライン、サンプル調整システム、流路切り替えシステム、分析器など、分析計装システムのさまざまな個所で発生します。 下の図は、プロセス分析サンプリング・システムの基本的な構成を示しています。

analyzer-sampling-system-diagram時間遅れとは、流体が監視対象のプロセスから分析器に到達するまでの累積時間を合計した時間のことです。 今回は、フィールド・ステーション・モジュールと、フィールド・ステーション・モジュールにおける時間遅れを短縮するレギュレーターの役割を中心に紹介します。

フィールド・ステーション・モジュールの手前

時間遅れの短縮を図るにあたって、まずは取出し口の場所を確認しましょう。 取出し口は、できるだけプロセス分析器に近い場所、かつ、時間遅れの発生源(ドラム、タンク、たまり部、流れが悪いライン、使用していない装置)の上流側に配置しましょう。

液体のサンプリングでは、取出し口での圧力が不足していると、サンプルを中継ラインやファスト・ループを通過させるのにポンプが必要になります。ポンプを追加するとなると、購入コストがかかるばかりか、パフォーマンスにまで影響を与えかねません。

とはいっても、取出し口の位置を変更することが難しく、既存の位置を再利用しなければならないケースも多いのではないでしょうか。分析器も同様に、通常の設置場所をそのまま使わざるを得ないことも少なくないでしょう。 取出し口と分析器が大きく離れている場合は、ファスト・ループを使って流体を分析器に高速で供給しつつ、未使用の流体をプロセスに戻すことをお勧めします。

大半の分析計装システムに共通するもう1つの時間遅れの発生源は、プローブです。 プローブの容積が大きくなると時間遅れも大きくなります。 プローブの容積は、その長さと径によって決まります。 時間遅れをできる限り短縮するには、容積の小さなプローブを選定しましょう。

フィールド・ステーション・モジュール内

プロセス分析器に液体サンプルが必要な場合、レギュレーターを用いたフィールド・ステーション・モジュールを使用せず、気化の発生を防止するため、液体を高圧に維持することをお勧めします。 ガス・サンプルの場合は、中継ラインの圧力を下げる手段としてフィールド・ステーション・モジュールを使用します。

時間遅れは、圧力に比例します。 つまり、圧力を半減すれば時間遅れも半分になります。 また、フィールド・ステーション・モジュールはできるだけ取出し口の近くに配置しましょう。 圧力降下のスピードが速いほど、時間遅れの短縮効果も高まります。 次に、フィールド・ステーション・モジュールでレギュレーターを使用するアプリケーションを3つ紹介しましょう。 なお、レギュレーターの仕様は、アプリケーションによって多少異なります。

レギュレーターのアプリケーション1

1つめのアプリケーションは、ガスの圧力を下げることを目的としています。 圧力降下によって凝縮が発生することが無い場合は、シンプルな減圧レギュレーターを使用します。 減圧レギュレーターによって、二次側の圧力が一定に維持されます。 この二次側の圧力に反応して感知エレメント(ダイヤフラムやピストンが一般的)が動き、制御エレメント(コーン型のポペットが最も一般的)によってガスが通過するオリフィスの面積が変わります。圧力が上昇して感知エレメントが押し上げられると、制御エレメントがレギュレーターのシート近くまで移動して、オリフィス面積が小さくなります。 圧力が低くなって感知エレメントが下がると、オリフィス面積が大きくなります。 大半の分析用レギュレーターは、ハンドルを使って設定スプリングを締める/緩めることで二次側の圧力を設定し、二次側の圧力に対する感知エレメントの動きを制御することができます。

感知エレメントは、一次側の圧力が急激に変化しないアプリケーションや、耐薬品性が重要なアプリケーションでは、メタル・ダイヤフラム・タイプを使用することをお勧めします。 圧力が不安定、または急激な圧力上昇が見込まれるアプリケーションでは、ピストン・タイプが適しています。

レギュレーターのアプリケーション2

2つめのアプリケーションは、圧力降下による凝縮の発生が想定される場合です。 大半のガスは、圧力降下によってエネルギーが失われると、温度が低下します(「ジュール・トムソン効果」)。 温度が低下してガスが露点に近づくと、凝縮が発生するおそれがあります。 また、凝縮が発生するほど熱が奪われた場合は、レギュレーターが凍結してしまうこともあります。 ジュール・トムソン効果を考慮すると、ガスの温度を露点以上に維持するために加熱式レギュレーターが必要になる場合があります。 加熱式レギュレーターでは、システム流体は加熱エレメントに接して流れます。 加熱エレメントとして、ヒーター・カートリッジを使用します。

ヒーター・カートリッジに必要なエネルギー(ワット数)は、計算によって求めることができます。この計算結果に基づき、ヒーター電力を決めます。 すべてのガスのジュール・トムソン係数は決まっています。この係数と、圧力降下量、流速を公式に代入することで、必要なワット数を算出することができます。

レギュレーターのアプリケーション3

3つめのアプリケーションは、ガス・クロマトグラフなどの分析器で測定するために、液体をガスに変換する必要がある場合です。 この場合は、気化レギュレーターを使用します。 気化レギュレーターの選択は難しい側面もありますが、正しいサイズのレギュレーターを適切に取り付けることができれば、確実に液体サンプルを気化することができます。 気化レギュレーターを使用する目的は、サンプル全体を瞬時にガスに気化して、液体プロセスの状態を正しく表すガス・サンプルを得ることです。

気化レギュレーターでは、温度と流量に十分注意を払ってください。 流量が多すぎるとサンプルの一部だけが気化してしまい、残りの液体がレギュレーターを通過して分析器に流入してしまいます。 気化レギュレーターの温度が高すぎると、一次側の液体サンプルが気化してしまいます。

regulator-bypass-loop-diagram最後に、気化レギュレーターを適切にセットすることで、大幅な時間遅れの発生を防ぐことができます。 流体が液体からガスに変わると、容積が大幅に増えます。 増加量は、液体の分子量によって決まります。 一般的に、気化する前の液体の流量と比較すると、気化後の流量は300倍以上に達することもあります。 例えば、気化後の流量が600 cm3/minの場合、液体の流量は2 cm3/min未満です。つまりこの液体は、外径6.4 mm×長さ3 m(1/4 インチ×約10 フィート)のチューブを通過するのに25分かかることになります。 この時間を短縮するには、レギュレーターの手前につなぐチューブの容積を縮小することが必要です。 例えば、外径3.2 mm×長さ30.5 cm(1/8 インチ×1 フィート)の短いチューブを使用すれば、液体をわずか30秒でレギュレーターに到達させることができます。 ただし、この時間にプローブでの時間遅れを追加する必要があります。 プローブの径が小さいほど、応答を速めることができます。

その他に、気化レギュレーターを分析器の近傍に移動し、液体ファスト・ループを使用して応答を速める方法もあります。 下の図では、気化レギュレーターはファスト・ループ・フィルターの後に配置され、さらに小流量の液体用の2つ目のバイパス・ループで、気化レギュレーターに向かう流体の流れを適切な量にしています。 これは、低速で気化レギュレーターに供給される液体の量をできるだけ抑えることを目的としています。

レギュレーターは、分析システムの時間遅れの解消に欠かせません。 ガス・システムの圧力が下がれば、レスポンス・タイム(応答時間)も短くなります。 一般的には、システムの圧力降下のスピードが速いほど、時間遅れが短くなります。 液体を気化する場合は、液体ファスト・ループを使用して液体を素早く気化レギュレーターに供給するという手もあります。 フィールド・ステーションを使用することで、複雑な分析計装システムにおける時間遅れを大幅に短縮できるとはいうものの、一度に全体の時間遅れを解消できる方法が存在するわけではありません。 時間遅れを短縮するには、考えられる原因をすべて精査することが必要です。

分析システムの時間遅れを抑制する方法を学ぶ

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