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最適な合金で半導体製造の歩留まりを高める

スウェージロックの流体システム部品には、半導体製造環境での耐久性を考慮した材料を使用しているものもあります。

最適な材料で半導体製造の歩留まりを高める

Masroor Malik、半導体マーケット・マネジャー、スウェージロック/Shelly Tang、上級主席冶金エンジニア、スウェージロック

激しい競争が続く半導体業界では、迅速なイノベーションが求められています。現代世界では、強力なデバイスの開発に依存し、より小さなトランジスタを利用して高レベルの処理能力を生み出そうとしています。デバイス内のトランジスタの数は2年ごとに倍増するという「ムーアの法則」は、1970年代から提唱されており、今日においてもトランジスタ開発に影響を与え続けています。

半導体メーカーは当然ながら、イノベーションに対する需要と自身の能力とのバランスを取りつつ、生産量と収益性の両方を最大化しなければなりません。そのためにはどうすればいいのでしょうか?マッキンゼー・アンド・カンパニーによる最近のレポート(1)によれば、一般的な戦略(人件費、材料消費量、グローバル調達費などの削減)は、短期的な効果はあるものの、長期的な収益性の向上には結びついていないとされています。

同レポートでは、半導体メーカーは、むしろエンドからエンドまでの歩留まりを改善することで、より効果的にコストを管理し、高い収益性を維持することができると示唆しています。マッキンゼーの見解によれば、歩留まりの最適化は、長い間、非常に重要でありながら達成するのは困難な目標であるとみなされてきました。したがって、これが達成されることは半導体事業における競争上の優位性であるといえます。

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エンドからエンドまでの歩留まりは、さまざまな方法で向上させることが可能ですが、中でも大きな可能性を秘めているにも関わらず、半導体製造プロセスで見落とされがちなエリアがあります。それは、反応性ハロゲン・ガスを貯蔵エリアから蒸着チャンバーに移送する流体システムと部品です。プロセス条件が厳しさを増し、反応性ガスがより軽く、より活性が高くなるにつれて、流体システムは最高レベルのパフォーマンスを発揮することが求められますが、それはシステムに使用されている材料に左右されることが少なくありません。

今日の半導体デバイスの製造環境において、低グレードのステンレス鋼では、必要なレベルのパフォーマンスを提供することが難しくなっています。今回は、高品質の材料から作られた流体システム部品によって、いかにエンドからエンドまでの歩留まりを高めることができるのか、そしてステンレス鋼を選定する際に半導体メーカーが考慮すべきポイントを紹介します。

歩留まりに対する流体システムの影響

液体/ガス・システムが歩留まりに影響を与える主な要因として、コンタミネーションと腐食の2つが挙げられます:

第一に、プロセス・トランジスタの小型化が進む中、超高純度の製造環境では、コンタミネーションに対する耐性がますます重要になりつつあります。ごく微小な異物であっても、大きな問題につながるおそれがあるためです。適切な流体システム部品を使用すれば、デバイス製造プロセスに混入するコンタミネーションを抑えることができ、結果として、デバイスの生産量を増やすことができます。

第二に、半導体製造プロセスでは、活性の高いプロセス・ガスを使用するケースが増えています。このようなガスは、高いオペレーション温度を必要とするため、腐食の可能性が高まることになります。システムにおいて腐食したバルブ、継手、チューブを交換する際にダウンタイムが生じると、製造が停止し、全体の歩留まりが大きく低下するおそれがあります。耐食性に優れた部品を使用することで、この種のダウンタイムを回避することが可能です。また、安全性も重要なポイントです。システム部品が適切に機能していなかった場合、漏れによって危険が生じるおそれがあります。

戦略的な材料選定を行うことで、高いパフォーマンスを実現する

半導体製造環境において重要なのはステンレス鋼の成分であり、高性能の合金と残留成分の最適なバランスが求められます。

例えば、ステンレス鋼の成分のうち、クロム、ニッケル、モリブデンの含有量を増やすと、材料の強度、ならびに活性の高いシステム流体に接触することで生じる腐食に対する耐性が高まります。なお、一定の残留成分が成分中に存在している必要があります。例として、最終用途の部品の表面仕上げと溶接性を最適化するには、一定の硫黄のバランスが必要になります。これは、パフォーマンス属性間の組み合わせに対してバランスをとるのが難しく、冶金学と材料科学において高いレベルの経験と知識を持つメーカーが求められます。

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しかし、半導体製造においては、クレンリネス(清浄度)と純度が非常に重要となります。アルゴン酸素脱炭(AOD)、真空誘導溶解(VIM)、真空アーク再溶解(VAR)といった工程を経て、不純物を最小限に抑えた高純度のステンレス鋼を材料に使用することで、クレンリネスを向上させることができます。メーカーには、厳格な品質管理とテストを行うことが求められます。例えば、超音波テストや過流探傷テストなどを実施すれば、純度を損なう可能性があるわずかな内部/外部の欠陥を検出することが可能になります。機械加工後に特定の材料の電解研磨や不動態化といった処理を行うと、部品のクレンリネスをさらに高めることができます。

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コンタミネーションを削減し、耐食性を向上させ、エンドからエンドまでの製造歩留まりを高めるため、半導体メーカーは、重要なアプリケーションのユニークなニーズを理解し、最適化された機能性と材料構造を備えたソリューションを提供する、実績のある流体システム部品のサプライヤーを探しましょう。

理想的なサプライヤーの条件:

  • 材料科学と半導体製造における課題を十分に理解している
  • 実績のあるサプライヤーから最高品質のステンレス鋼を調達している
  • 厳密に指定した材料の化学成分および工程基準を維持している
  • 厳格かつ徹底的な試験をすべてのステンレス鋼材料に対して行っている
  • 製造工程を通じて、厳格な材料管理を維持している
  • すべてのステンレス鋼について原材料から出荷までのトラッキングを行い、100%のトレーサビリティを実現している

競争の激しい半導体業界において最大の生産量をお求めであれば、上記の条件を満たすサプライヤーを探す価値はあるでしょう。高パフォーマンスの製品を提供するサプライヤーを見つけ、適切な材料選定と製品設計を行うことで、コンタミネーションや腐食を最小限に抑えることができれば、大きなROI(投資収益率)が得られる可能性があります。

流体システムを最適化する方法を習得して、長期的な収益性の向上を実現したいとお考えですか?スウェージロックは、数十年にわたって半導体業界に高性能な部品を提供してきました。スウェージロックのサポートによって、どのようなメリットが得られるかにつきましては、最寄りのスウェージロック指定販売会社までお問い合わせください。

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(1)Taking the next leap forward in semiconductor yield improvement,” McKinsey & Company, May 2, 2018.

マスルール・マリックは、スウェージロックの半導体マーケット・マネジャーです。スウェージロックでの勤務年数は22年にも及び、これまでに培ってきた技術的な経験を活かして、半導体マーケットのお客さまをサポートしてきました。マスルールは、ネブラスカ大学リンカーン校およびケース・ウェスタン・リザーブ大学のウェザーヘッド経営大学院で学位を取得しました。

シェリー・タンは、スウェージロックの上級主席冶金エンジニアです。同職を務めて約20年になるシェリーは、さまざまな流体システムのアプリケーションにおける材料科学の分野で経験を積んできました。シェリーは、ペンシルベニア州立大学で材料科学およびエンジニアリングの博士号を取得しました。

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