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安全性に優れた一般産業用流体システムを構築するための7つのヒント

流体システムの安全検査

安全性に優れた一般産業用流体システムを構築するための7つのヒント

Ken Backus、フィールド・エンジニア、北米担当

安全上のリスクは、産業プラントや製油所の至るところに潜んでいます。こうしたリスクを軽減することが、プラント・マネージャーの主な責務と言えます。また、安全性を確保するだけでなく、施設のアップタイム(稼働時間)を維持して安定した収益を上げるという点からも、リスク軽減策を講じることが重要です。

ここで鍵を握るのが、プラントの一般産業用流体システムです。 高圧・高温の液体やガスを中継するシステムに不具合があれば、健康上・安全上・環境上の懸念が高まるのは言うまでもありません。 流体システムの不具合は、絶対にあってはならないのです。 幸いにも、流体システムの安全性を確保するため、エンジニアや技術者の方々が実行可能な策は色々あります。今回は、その中でも設計時の対策を中心に紹介します。

1. メーカーが異なるコンポーネントは絶対に混用しない

一般産業用コンポーネントは、ひとつとして同じものはありません。 メーカーが異なるコンポーネントの互換や混用を行った場合、思いがけない性能の低下、環境への排出、安全上の問題を招き、ひいてはコスト上昇につながります。 例えば、同じ1/2 インチ・サイズの継手であっても、メーカーが違えば公差は異なります。 メーカーが異なる継手を混用すると、漏れはもちろん、危険なブローアウトが発生する確率も高くなります。

高圧・振動・真空・温度変化に耐え、かつ、漏れのないシール性能を維持するには、厳密な寸法許容差が重要であり、また、長年かけて生み出された設計原理に基づき、極めて厳しい品質管理を一貫して行うことが重要です。 したがって、 一貫性と信頼性に優れたコンポーネント のサプライヤーから、厳格な基準に基づいて製造された高品質な製品を入手することが最善策といえます。 すべて同じメーカーのコンポーネントを採用することで、流体システムのオペレーション全体における互換性を確保することができます。

2. 人為的なミスをできる限り無くす

十分なトレーニングを受けていても、ミスの可能性が完全に無くなるわけではありません。 しかし、安全性を考慮した流体システムの設計原理に従うことで、さまざまな面から人為的ミスを低減することができます。 手始めに、コンポーネントのラべリングに着手してみてはいかがでしょうか。 詳細情報を記載したタグを装置やホースに取り付け、システム内での役割を明らかにしておくと、オペレーターがそれを参考にして綿密な調整を加えることが可能になります。 また、プラント内のハンドル、チューブ、パイプは色分けして、使用している液体やガスの種類が一目でわかるようにすれば、ミスを減らすことができます。

可動物や人間との接触を防止するコンポーネントを追加するのも有効です。 重要な個所に使用しているプロセス・バルブにロックアウト機能を追加すれば、安全上の懸念と誤作動を同時に解消・防止することができます。

3. 用途に適したコンポーネントを使用する

プラントの安全性を最優先するのであれば、流体システム・コンポーネントを価格だけで選定するのはやめましょう。 コンポーネントの購入費用を少々節約できたとしても、それが安全性に関わる事故につながって金銭的な損害が発生すれば、元も子もありません。

価格ではなく、当該の用途で 高い評価 と実績を持つブランドかどうかで判断しましょう。 最適なコンポーネントを選定するには、プロセスの状態を正確に理解する必要があります。 例えば、静電気が発生する流体システムでは、コア材質に導電性金属またはカーボン・ブラック含浸PTFEを使用しているホースを選定し、静電気を逃がすことで、ホースのコアが帯電するのを防止してください。 適切な材質を選定すれば、今後の漏れを防止することができます。 購入先については、信頼できるパートナーや認定済みの流通ルートに限定しましょう。偽造品や標準を満たしていないコンポーネントを使用すると、システムのオペレーションに支障をきたし、プラント全体の安全性低下につながりかねません。

4. 常にシンプル化を心掛ける

できるだけ流体システムをシンプル化することで、問題が複雑化するのを防ぐことができます。 システムを簡素化すれば、トラブルシューティングの際に調べる必要があるコンポーネントの数も減らすことができるため、メンテナンスの効率化にもつながります。 例えば、複数のパイプを使用する配管レイアウトであれば、チューブへの置き換えを検討してみましょう。チューブを曲げてレイアウトすることで、漏れの可能性がある接続部分の数を減らすことができます。

上の図のパイプ配管では7個の継手が使用されており、漏れの可能性がある接続部分は17カ所にものぼります。 
それに対して、下の図のチューブ配管で使用されている継手はわずか2個で、漏れの可能性がある接続部分は4カ所です。


システムのオペレーションを更に簡素化したいのであれば、サプライヤーに依頼して 
流体システム・アセンブリーをオーダーメイドで製作 してもらうという手もあります。 わずか数個のコンポーネントからなるアセンブリーであれ、複雑なパネルやエンクロージャーであれ、部品を組み立てる際には必ずミスの可能性が存在します。 高品質なアセンブリーに定評があり、かつ保証を提供しているサプライヤーを選定すれば、アセンブリーの漏れを気にすることも、勘や推測に頼って作業する必要も無くなります。

5. メーカーの指示は厳守する

流体システムの取り付けや取り外しの手順書に従わなくても問題はないと思われがちですが、実は深刻な結果を招くおそれがあります。 次のようなミスを避けられるという点でも、メーカーが定めた取り付け手順を守りましょう:

  • 継手の締め付け不足(漏れやブローアウトの原因)
  • 締め付け前に、チューブが継手ボディの肩に確実に当たるのを確認していない
  • シール性を損なうようなチューブのゆがみ、欠陥、スクラッチ傷をチェックしていない
  • 継手のメーカーが推奨する肉厚の限界値と照合して確認していない
  • 継手が十分に締め付けられていることを、適切なギャップ検査ゲージで確認していない

6. 振動や動きを考慮して設計する

一般産業用流体システムを構築する際は電源が入っていないため、機械振動の影響を忘れがちです。 システム設計を行う際は、こうした要因を必ず考慮しましょう。チューブや継手が損傷してコンポーネントの漏れにつながるおそれがあります。 適切なサポートを追加すれば、高圧下のチューブや継手に加わる負担を軽減することができます。 また、可動コンポーネントがあると、ホースベンドモーションアプリケーション図コンポーネントや接続個所にかかる負担が増えるため、適切な可動範囲を設定してください。

激しい振動が発生するケースでは、チューブよりも振動吸収性に優れたホースに交換することをお勧めします。 動きを伴う用途でホースを使用する場合、十分な長さを確保して動きを分散させ、規定の最小曲げ半径よりも小さい半径でホースが曲がらないように注意しましょう。 曲げ半径が小さすぎると、不具合の発生を早めるおそれがあります。 ホースは時間の経過に応じて交換する必要があるため、設計時にはコンポーネントの寿命も考慮してください。

7. チューブの硬度と材質の適合性を考慮する

漏れがないように継手を接続するには、継手とチューブに材質の適合性があること、またチューブの硬度が接続に適していることを確認してください。 メタル・チューブの硬度が継手の硬度よりも低ければ、チューブを確実にグリップすることができます。 例えば、ステンレス鋼チューブを真ちゅう製継手に使用しないでください。継手材質の硬度が低いとチューブを十分に固定することができません。

今回紹介した対策は単純なように見えて、実際は現場で見落とされているケースが少なくありません。 最適なシステム設計と取り付け手順を最優先事項として徹底することで、本来の性能でプラントを稼働させることができます。 そのほか、 トレーニングや復習用コース を受講するのも有効です。 注意事項に留意し、流体システムの正しい設計原理に従うことで、長期的には不具合とそれに伴う多額の損失を回避し、プラントの安全性を向上させることができます。

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